研究課題/領域番号 |
20K21962
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
|
研究機関 | 新潟県立大学 |
研究代表者 |
五十嵐 舞 新潟県立大学, 国際地域学部, 講師 (70881978)
|
研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | 黒人女性文学 / トニ・モリスン / フェミニズム / ポスト9.11文学 / 対テロ戦争 / 9/11 / 性暴力 / ジュディス・バトラー / Toni Morrison / クィア / Judith Butler / アフリカ系アメリカ文学 / ジェンダー / セクシュアリティ / アメリカ文学 / テロリズム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、アフリカ系アメリカ人女性作家トニ・モリスンによる執筆を通じた運動を、2001年のアメリカ同時多発テロ事件以降の文脈に位置づける試みである。その方法として、作品を9/11以降の対テロ戦争をはじめとするアメリカの国内外の政治状況や、黒人・女性・性的マイノリティなどマイノリティに関する言説を踏まえて読み解くことを行う。ナショナリズムの高揚との関係でマイノリティの運動が複雑化する時代において、彼女の運動がもつ可能性を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
令和4年度は、主に資料の収集整理と作品の読解と学会報告と論文の執筆を行った。 資料の収集と整理については、前年度から引き続き9/11後の米国の中東侵攻に賛同した一部の欧米のフェミニストに対する批判に関する文献に加えて、近年のマイノリティの運動と資本主義に関する文献を収集し読解を進めた。また、令和4年度も新型コロナウイルスの関係でアメリカでの調査が行えなかったため、モリスンについても書籍やオンライン上でアクセス可能な資料の読解を進めた。作品分析もある程度進み、次年度に投稿するための論文として文章化できた。 学会報告は、社会思想史学会のセッション「社会思想におけるリプロダクション――J.バトラーにおけるリプロダクションの忌避」に参加し、「J.バトラーがリプロダクションについて語りはじめるとき」というタイトルで報告した。私はバトラーの著作とインタビューの中でわずかにしか言及されないリプロダクションに関する事項を整理した。セッションに至るまでの打ち合わせ及び当日のディスカッションによって、今日のアメリカのフェミニズムにおけるリプロダクションに関する理解を深めることができたので、今後の作品分析にいかしたい。 また、ジュディス・バトラーのパフォーマティヴィティ概念から、性暴力の第三者介入に関する倫理について論じた論文“Responsibility for Citation: A Way to Understand Bystander Intervention in Sexual Violence through Judith Butler’s Theory of Performativity”を執筆した。Journal of International Studies and Regional Development: JISRDのvol.14に掲載され、2023年3月に刊行された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度も新型コロナウイルスの影響で計画していたアメリカでの調査が行えず、書籍やオンライン上で入手可能な資料を用いて研究を進めた。ある程度論文化が進んだが、資料の一部が入手できていないことにより作品分析が部分的に遅れているため、当初予定していたよりもやや遅れていると自己評価せざるをえない。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの過程で再確認した9/11後のアメリカ社会と人種やフェミニズムに関する問題系を参照しながら作品分析を行う。新型コロナウイルスの影響で実施できていないアメリカでの調査を行いたいと考えているが、引き続き難しい場合は、オンライン上でアクセス可能なものや書籍を用いて研究を進める。令和5年度中に本研究の成果を論文にまとめ投稿する。
|