研究課題/領域番号 |
20K21964
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 和洋女子大学 |
研究代表者 |
坪野 圭介 和洋女子大学, 国際学部, 助教 (80884246)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 摩天楼 / アメリカ文学 / 大衆文化 / アメリカ建築 / 遊園地 / アメリカ文化 / 都市文学 / 初期映画 / 万国博覧会 / 階級 / 文学史 / 建築 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、現代都市を象徴する摩天楼が19世紀末にアメリカ合衆国に誕生して以来、現在に至るまでいかに表象されてきたのかを、小説・映画・歴史資料などの分析を通じて明らかにするものである。この特異な建築様式の発達は、アメリカの発展と軌を一にしていたため、作品内の建築表象には多くの場合、国家そのものの上昇志向が寓意的に織り込まれている。同時に、労働・生活・消費と密接に関わる摩天楼は、ジェンダー・人種・階級といった各要素の交渉と衝突の場でもあり、作品内でこうした諸相が問い返されている。各時期の重要な出来事に着目しながら、摩天楼表象の分析を通して現代アメリカの社会と文化の形成過程を記述することを試みる。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、アメリカにおける摩天楼の①勃興期(1880年から1930年)、②安定期(1930年から1980年)、③衰退期(1980年から現在)という3つの時代区分を扱い、文学作品に見られる高層建築の表象を分析するものである。これまでに①の時期についての研究をおおむね完了し、現在は②および③の時期の研究に取り組んでいる。勃興期の摩天楼に関しては、アメリカ自体の発展と重ね合わされながら、しばしば擬人化して表象されてきた過程を明らかにした。安定期・衰退期もまた、アメリカの浮き沈みを象徴的に表現しつつ、とりわけ9.11が契機となって新たな表象のモードが出現していることが指摘できる。現在分析対象としている作家には、スティーヴン・ミルハウザー、ジョナサン・サフラン・フォア、ドン・デリーロなどが含まれる。また、テレビドラマや映画などの映像作品も分析対象に加え、より多角的な検証を行なっている。 昨年度はそれまでに行ってきた研究を踏まえ、作品・資料の整理と分析を進めた。研究成果の一部は、東京大学で行われた準学会である現代文芸論研究報告会にて「遊園地と都市文学:アメリカン・メトロポリスのモダニティ(1893-1925)」というタイトルで発表した。 ただし、新型コロナウイルスの感染状況により海外出張ができなかったため、予定していたアメリカ合衆国での現地調査・文献調査や成果発表を行えなかった。そのため基本的に計画全体を一年間先送りすることにし、昨年度は研究費を使用した研究を行なわなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの流行が続いたことにより、昨年度もアメリカ合衆国での現地調査がおこなえなかった。そのため、予定していた一部の研究が実施できない状況が続いている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、当初の予定において実施できなかったアメリカ合衆国での資料調査をおこない、研究課題の最終段階までの遂行を目指す。前年度の研究計画をあらためて実施し、とりわけ21世紀における摩天楼表象とアメリカ文化の関係を分析することに注力する。研究成果は、論文および口頭発表のかたちで公表する予定である。
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