研究課題/領域番号 |
20K21965
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 実践女子大学 |
研究代表者 |
舟見 一哉 実践女子大学, 文学部, 准教授 (80549808)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 藤原清輔 / 歌学書 / 勘物 / 古筆切 / 後拾遺和歌集 / 金葉和歌集 / 古今和歌集 / 寂恵 / 六条藤家 / 古典学 / 紫式部集 / 石見切 / 拾遺和歌集 / 文理融合 / 清輔 / 私家集 / 証本 / 三代集 / 後拾遺集 / 金葉集 / 清輔本 / 藤原知家 / 寿暁 / 顕註密勘 |
研究開始時の研究の概要 |
代表者はかつて、平安時代末期の藤原清輔が行った古典文学研究について、①「a本文の校訂、b考証結果を写本に書き込む勘物、c考証結果を書物にまとめる、という三種の形式がある」、②「それらが連関しつつ複数の別作品をも接続している」という仮説を、三代集を中心に提示した。本研究は、未着手であった作品の分析によって上記仮説を再検証する。加えて、清輔が同じ作品の研究を繰り返し行うことで理解を深化させている事実を踏まえると、横方向の接続・広がりだけでなく、時間軸という縦方向の深化も同時に進んでいく様態を記述する必要がある。そこで、このような動的様態を、共深化という概念と立体的な3Dモデルを用いて可視化する。
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研究成果の概要 |
平安時代の藤原清輔が行った古典文学研究の様態を、各作品に対する清輔の個別研究と、作品間の関係性に関する清輔の研究とが、相互に連関しながら深化する〈共進化3Dモデル〉として動的に記述することを試みる。研究成果を2点にまとめる。(1)清輔の勅撰集研究と私家集研究は、余白に書き込まれた勘物によって繋がっており、共進化していく。三代集の勘物と三代集以降の勘物は、撰集故実の解明か、その運用確認かという機能の違いがある。(2)考察の基盤となる清輔本諸本の網羅的書誌調査によって、奥書の再解釈による認定の是正や、新出資料の発掘が実現した。古筆切のツレを認定する新たな基準と課題についても新知見を提示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、清輔本や清輔古典学を分析する際の具体的手法が明瞭になってきた。清輔本金葉集のように奥書の再考を要する場合や、私家集に関する勘物のように出典注記であるという先入観を拭い去る必要のある場合もある。ひとつの作品だけでなく、清輔本全体を見据えた包括的な視座が研究には必要であることも明瞭となった。清輔本に関わる伝本の捜索は、零本や古筆切も含めて継続されるべきであることも示し得た。そして古筆切どうしをツレと認定するときは、字高の比較や、紙質の光学的観点からの比較によってその精度が増すことも実証した。これは文理横断・融合型の思考がもつ有効性を実社会に還元し得た成果でもある。
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