研究課題/領域番号 |
20K21970
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 愛知淑徳大学 |
研究代表者 |
柳井 貴士 愛知淑徳大学, 創造表現学部, 講師 (50871050)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 琉球新報 / 月曜よみもの / 迷ひ心 / 明治期の散文 / 地方だより / 日本語教育 / 書き手と読み手の生成 / 沖縄 / 短編小説断縁 / 『琉球新報』 / 『琉球教育』 / 大城立裕 / 文学 / 沖縄文学 / 日本近代文学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では書かれた「作品」から現代を問うていく。明治期沖縄にあらわれた「書き手」が〈どのような環境を受容〉し、〈何を書きのこしたか〉を一次資料などから掘り下げ考察することで、戦後文学研究において焦点化される国家(権力)との関係、自律性の問題のすそ野を拡大していく。本研究では、明治期にあらわれるエッセイや短編小説形式の投稿を分析することが重要になる。これは教育面から「散文」の書き手育成(『琉球教育』などの雑誌)の深度を見ることとも関連する。新聞投稿欄などへの書き手の教育深度を確認しながら、内容を精査することで、明治期沖縄と本土との関係を「書く」ことから考察していく。
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研究成果の概要 |
本研究は近代日本成立過程における沖縄のあり様を、散文学の側面から問うものである。そこで明治30年代前半の新聞の記事内容を調査し、言説の形成、読者へ伝達される日本像について考察した。記事を俯瞰すると「地方だより」が重要な役割を占めている。そこでは沖縄の後進性とそこに対置される日本の先進性を語る場面が見受けられる。 新聞一面では講談など、日本「的」である文学が掲載され、琉球とは違う内面の生成が図られている。また1907年には読者投稿を促す企画欄「月曜よみもの」が設けられ、読者が「口語体」で書く場が作られる。読み手を含む日本語の教育・共有の場が創造され、国民としての生成が進行していくのである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では明治期沖縄にあらわれた「書き手」が〈どのような環境を受容〉し、〈何を書きのこしたか〉を一次資料などから掘り下げ考察することで、戦後文学研究において焦点化される国家(権力)との関係、自律性の問題のすそ野を拡大する。それは「庶民」が書くこととも関わる問題を秘めており、教育面から「散文」の書き手生育(『琉球教育』などの雑誌)の深度を見ることとも関連する。 明治30年代には「烈女お藤」や、実録としての「日露戦争」記が掲載される。これらを考察することで明治期沖縄県民の日本国民への生成の痕跡をみることができる。一次資料からの国民生成の調査は先行研究に少なく、本研究の独自性を示すものである。
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