研究課題/領域番号 |
20K22002
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 四国大学 |
研究代表者 |
石井 悠加 四国大学, 文学部, 助教 (10881518)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 一遍聖絵 / 遊行上人縁起絵 / 西行 / 絵巻 / 和歌 / 白河関 / 浅間山 / 承久の政変 / 一遍 / 時宗 / 中世文学 / 中世 |
研究開始時の研究の概要 |
西行は平安末期に生きた実在の歌僧である。彼を主人公のモデルとしてその生涯を和歌と旅の風景とともに描いた物語絵巻が早くも鎌倉中期には制作されていたことが確認されている。 『西行物語絵巻』により流布した〈西行〉像とは、中世という時代そのものの結晶であり、この絵巻における和歌とは、絵画と詞書の間に新たな解釈を生成する機構である。 この絵巻の生成と流布に関与していたのは誰か。一遍を宗祖とする13世紀末の時衆(後の時宗)がその担い手と目されている。時宗文芸作品と西行物語絵巻の和歌に注目し、彼らによる生成・享受の様相を具体的に解明する。
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研究成果の概要 |
本研究では、中世絵巻の詠歌場面に着目し、絵画と詞書の間に新たな解釈が生成されていく機構を明らかにすることを目的として、時宗の歴代遊行上人の行状絵巻、遊行上人の和歌、西行物語伝絵巻諸本について検討を加えた。この検討により、『一遍聖絵』『遊行上人縁起絵』という二つの時宗絵巻から、中世時衆が早期から西行物語伝絵巻を受容していたことの傍証を見出すことができた。また、そこで東国の旅に注目して成果を見出した経験から、絵巻全体の詠歌場面へと視野を広げることで、信濃・京・西国での旅における詠歌場面の意義の解明へと発展させることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の当初の目的は、絵巻という従来の和歌研究では周辺的と見做された領域へ和歌研究の領域を広げることにあった。和歌研究の分野での絵巻へのアプローチといえば、三十六歌仙絵巻や伊勢物語絵巻など、和歌文学を題材とした絵巻についての研究が想定される。しかし本研究では、浄土系の祖師伝絵巻のうち、『西行物語絵巻』制作と関わりの深い中世時衆の制作した絵巻群に着目した。中世時衆が文学・宗教を結びつけた様相について検証を行い、隣接分野への学際的影響をもたらすことを試みた点に本研究の学術的意義がある。
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