研究課題/領域番号 |
20K22005
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0102:文学、言語学およびその関連分野
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研究機関 | 久留米工業高等専門学校 |
研究代表者 |
常木 佳奈 久留米工業高等専門学校, 一般科目(文科系), 助教 (60881654)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 木版多色摺口絵 / 出版文化 / デジタルアーカイブ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、書物の意匠について、デジタルヒューマニティーズ型の研究手法を確立することを目的とする。なかでも、明治期において文学書を中心とする幅広い分野の書物へ付せられた木版多色摺の口絵に注目し、同資源のデジタルアーカイブを拡充すると同時に、それらを活用した明治期出版文化研究に取り組む。 あわせて、国内外の関連コレクションについてその形成過程を調査することで、木版口絵がどのように市場に登場し、また、これまでにどのような評価を受けてきたか、その経緯を明らかにする。
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研究実績の概要 |
2022年度はこれまでに引き続き「口絵ポータルデータベース」の拡充を行ったほか、明治期における春陽堂書店の出版活動にかんする成果報告を行った。あわせて、「明治大正昭和挿絵文化展」にかんする調査へも着手した。その成果・内容は、以下のとおり。 1.「口絵ポータルデータベース」のメタデータ検証作業を行った。データが十分に入力されていない画像も散見されるため、次年度以降も引き続き入力作業を行うこととする。 2.前年度より取り組んでいた、春陽堂書店の出版活動にかんする調査成果を口頭発表し、その後、論文として発表した。具体的には、近代木版口絵文化の誕生から流行の兆しをみせた明治22年から明治29年までに注目し、同書店から発行された書籍タイトル数と木版口絵付書籍のタイトル数を整理したうえで、木版口絵付書籍が全体に占める割合を明らかにした。書籍タイトル数は各年45~60点程度で安定しており、同書店の手堅い出版商法が窺われる一方、木版口絵付書籍は年を追うごとに急激な増加傾向をみせていることから、当時の出版界の流行に乗る形で、あるいはその流行を牽引する形で、同書店も木版口絵摺刷の体制を整えていったのではないかと考察した。あわせて、同書店から発行された『小説挿画集』(明治31)と『江戸錦』(明治44)の掲載作品や、両画集の出版年などを総合的に分析し、以上2種類の近代木版口絵画集は、木版印刷技術の向上へ意欲的に取り組んでいた初代社長・和田篤太郎の仕事上の成果として発行されたものではないかという考察も行った。 3.昭和15年に開催された「明治大正昭和挿絵文化展」にかんする調査に着手した。図録をもとに出品物の傾向や講演記録を分析し、文章化する段階まで至っているので、2023年度中に論文として成果発表できるよう引き続き準備を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要にも記述したとおり、2022年度は「口絵ポータルデータベース」の拡充への取り組み、明治期における春陽堂書店の出版活動にかんする成果報告のほか、「明治大正昭和挿絵文化展」にかんする調査への着手など、十分な成果を出すことができた。一方で、2022年度も依然として海外渡航が困難だったために、国外資料所蔵先での新規調査を実施できなかった。以上の理由から、当初の計画よりもやや遅れていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
2023年5月に新型コロナウイルスが5類感染症へと移行したため、今後は海外渡航へのハードルが下がることが予測される。夏以降、アラド美術館とカリフォルニア大学東アジア図書館への訪問スケジュールを調整し、先方が所蔵するコレクションの調査へ着手したい。
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