研究課題/領域番号 |
20K22008
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0103:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
崎島 達矢 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 助教 (10880742)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 近代都市 / 行財政 / 府税 / 府会 / 同業組合 / 株仲間 / 明治初期 / 冥加金 / 三府 / 都市 / 府県税 / 商法会議所 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は王政復古~三新法体制成立期を対象に「三府における近代的都市行財政の形成過程を明らかにすること」を目的とする。三都市の府庁文書や「公文録」等の活用、府会議事録・予算案等の史料調査を踏まえ、中央・地方両属的な三府における都市行財政の実態分析を通じて、都市を含んだ「地方」形成過程の解明を目指す。 具体的には、①近世以来の諸支配権力から三府が各々支配権を獲得してく過程と廃藩置県・大区小区制等の制度改革との関係、②大区小区制期における三府税制・財政の実態が明治8年の府県税成立に与えた影響、③明治11年から始まる三新法制定に対し、それまでの行財政を如何に振り返り移行を果たしたのか、の3点である。
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研究成果の概要 |
本研究は維新後から明治11年の三新法へという地方制度の変化における、都市行財政制度の形成過程の解明という課題に対し、①都市財政を特徴づける運上・冥加金を負担する営業者との関係、②府会成立がもたらした行財政上の変化という2点からアプローチした。その結果、江戸材木問屋組合・大阪貿易商組合の分析から冥加金や五厘金は組合の集団化の論理をなす一方、税制や地方制度改革は組合の存廃や行政の補完のあり方にも深くかかわっていたこと、明治12年の大阪府会議事を分析から府会を通じて行政に競争の公平性や市場原理が持ち込まれたことなど、当該期の行財政の特徴が明らかとなった。一方、三府の比較という点は課題として残った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、近代都市史において課題であった近世近代移行期の制度史研究に、都市社会の不可欠の構成要素である仲間や同業組合との関係性を踏まえて取り組み、近世都市史との接続を目指した点、農村部を対象に論じられてきた地方制度史に都市部の分析を加えた点に学術的意義がある。さらに、近世的な社会秩序を脱しながら近代的行財政制度が構築される過程で、三府において「地方」とは異なる社会構造の上にどのような特徴をもった地方制度が作られていくのかを扱った本研究は、都市への人口集中が継続し、ふさわしい大都市制度を模索する今日において、長期的な視野に立った検討材料を提供することに繋がるという社会的意義をもっている。
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