研究課題/領域番号 |
20K22009
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0103:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 京都精華大学 (2021-2022) 東京大学 (2020) |
研究代表者 |
中尾 沙季子 京都精華大学, その他の部局, 講師 (50883899)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 人種 / パン・アフリカ主義 / ジョゼフ・キ=ゼルボ / アフリカ独立党(PAI) / アフリカ独立党 / 帰属意識 / アフリカ独立党(PAI) / 西アフリカ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、従来アフリカ大陸外部の社会に特有なものとされてきた「アフリカ」と「人種」概念の結びつきを、西アフリカ地域の人々の帰属を規定する社会関係のなかで捉えなおすことを主眼とする。具体的には、1957年に結成され、西アフリカを中心に活動を展開したパン・アフリカ主義政党のアフリカ独立党の元党員への聞き取り調査をもとに、各人の経歴に焦点をあてた人物研究の手法を用いた分析を行う。その際、マルクス主義を教義とする同政党において「人種」概念がどのように位置づけられているかに着目し、それが各党員の政治活動および地域内の人間関係にどのように反映され、党員の帰属意識がどのように変遷していったかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度前半は、初年度から着手している「人種」概念の形成と受容についての二次文献の整理、考察を続けたほか、「人種」概念についてさまざまな角度から研究を進めている国内外の研究者と意見交換を行った。とりわけ7月16日に京都キャンパスプラザで開催された日仏共同研究の成果物である『人種主義と反人種主義~越境と転換』(竹沢泰子・J.F. ショブ編、京都大学学術出版会、2022年)出版記念シンポジウムに参加(通訳)したほか、竹沢泰子氏主催の批判的人種・エスニシティ研究会に参加し、最新の人種研究の動向を把握する機会を得ることができた。 一方、本研究は人種意識と並行して、「アフリカ」への帰属意識の形成についても考察を進めるものであるが、後者に関して、20世紀後半に思想的潮流を牽引した人物のひとりである歴史家のジョゼフ・キ=ゼルボの生誕100周年を記念するシンポジウムを企画し、7月30日に京都精華大学アフリカ・アジア現代文化研究センターにて実施した。シンポジウムでは、ジョゼフ・キ=ゼルボのアイデンティティに関する思想をめぐる本邦初公開となるドキュメンタリー映画「アフリカのアイデンティティー、アイデンティティーズ」(ダニ・クヤテ監督、2005年)の上映を行ったのち、同テーマについての座談会を行い、アフリカにルーツを持つひとびとの帰属意識の複数性とその政治的インパクトについて考察を深めた。 さらに、8月~9月にはフランスおよびセネガルで史料収集のための滞在を行った。前年度までコロナ禍の影響で渡航がかなわなかったセネガルでは、本研究の中核をなすアフリカ独立党の結成地であるチェス市をおとずれ、複数の党員/元党員にインタビュー調査を行うことができた。 年度の後半は、インタビューの内容や、同時に収集した公文書、二次文献の分析にあてた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症の世界的な拡大の影響が初年度から続き、本年度まで海外での調査ができなかったことから、当初の計画を変更し、国内での史料収集が可能な分野との関連性に焦点をずらして研究を進めてきた。本年度は当初予定していた調査が可能になったものの、今後調査結果を多角的に分析するためには、さらに時間が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に実施したインタビュー調査の書き起こし、翻訳を終え、アフリカ独立党に関する史料・研究を整理して、まとまった論考の執筆を開始したい。 また、セネガルでの追加調査、およびガーナにてンクルマ政権によるPAI党支援や、W.E.B. Du Boisに関する史料収集を予定している。
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