研究課題/領域番号 |
20K22012
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0103:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大東 敬典 東京大学, 史料編纂所, 助教 (00871237)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | オランダ東インド会社 / 外交 / 契約 / グロティウス / ペルシア / 法 / 編纂 / 日本 / サファヴィー朝 / 史料編纂 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、オランダとインドネシアにおいて調査を実施し、オランダ東インド会社がサファヴィー朝(1501~1736年)と結んだ合意文書について研究する。研究目的は以下の2点である。①同文書を形式・機能・内容の点から分析し、比較的研究が遅れている会社のアジア域内貿易ネットワークの法的側面に光を当てること。②20世紀になって、それらの文書が、オランダ外交史研究における基幹史料集の一つである『オランダ東インド外交文書集Corpus diplomaticum Neerlando-indicum』にどのように利用されたのか、あるいはされなかったのかを検討することによって、同研究分野の形成過程に考察を加えること。
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研究実績の概要 |
2022年度も予定していたインドネシア国立文書館での史料調査を行うことができなかった。新型コロナ感染症が収束に向かい始めた夏から準備を開始したが、調査ビザ取得のための受入機関確保に時間を要し、再度調査を延期せざるを得なかった。 そのため、当該年度も『蘭領東インド外交文書集』と、その主要典拠で、オランダ東インド会社のアムステルダム支部に伝わる「契約集Contractboeken」を利用し、会社がアジア各地の政治的支配者と締結した、いわゆる「契約」について地域間比較を進めた。 これまでに会社の契約の地域横断的分析を行った研究の多くは、オランダの法学者フーゴー・グロティウスの言論活動に関連するもので、主に、会社が現地政権に対して対等以上の立場を有した東南アジアや南アジアの諸地域を対象に、会社による万民法の運用やオランダの植民地主義の発展について論じてきた。その一方で、強力な王権が存在した地域、特に東アジアと西アジアには十分な注意を払ってこなかった。 こうした研究の偏りによって見過ごされてきた重要な事実として、現地政権が優位に立つ地域では、会社は現地語の勅令をオランダ語訳し「契約」として収集に努めていたことが挙げられる。またそうした勅令/契約の受命者は、必ずしもオランダ人とは限らなかった。本研究では、一例として、1652年4~5月にサファヴィー朝君主アッバース2世がバンダレアッバース知事に発給したペルシア語勅令のオランダ語訳をさらに日本語に翻訳し、解題を付して公刊した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当該年度もインドネシア調査を実現することができず、バタフィア総督府にも伝わるとされる「契約集」を調査することができなかった。幸い研究期間を再延長することができたので、2023年度にこの課題に取り組みたい。
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今後の研究の推進方策 |
2023年10~11月、インドネシア国立文書館において「契約集」の調査を実施する予定である。同史料の所在を確認するとともに、先行研究が十分に扱わなかったペルシア、中国、日本の3地域を対象に、収録文書の数・形式・内容の把握を行いたい。また史料調査とあわせて、受入機関となるガジャマダ大学歴史学科への訪問も行う予定である。
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