研究課題/領域番号 |
20K22016
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0103:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 上智大学 (2022) 一橋大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
李 英美 上智大学, 基盤教育センター, 助教 (20876255)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 国籍 / 人の移動 / 東アジア / 冷戦 / 出入国管理 / 運動 / 市民運動 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、1960年代から1970年初頭にかけて東アジア地域で提起された旧植民地出身者の国籍をめぐる訴訟・運動を中心に、戦後日本の出入国管理政策と東アジア地域の国籍問題の位相を検討するものである。本研究では、サハリン残留朝鮮人の日本への帰還問題や、在日朝鮮人の「国籍」をめぐる(書き換え)運動、沖縄の台湾人の帰化問題などを事例に、1960年代から1970年初頭にかけての日本の出入国管理政策の形成を、東アジア地域史との関係のなかで考察する。
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研究成果の概要 |
本研究では、1960年代から1970年初頭の東アジア地域における旧植民地出身者の「国籍問題」を事例に、戦後日本の出入国管理政策の展開を、東アジアの文脈のなかで再検討した。特に、1サハリン残留朝鮮人の帰還問題や、2在日朝鮮人の「国籍」をめぐる(書き換え)運動、3沖縄の台湾人社会の帰化問題を事例に、旧植民地出身者の国籍問題が日本国内の文脈に留まらず、東アジア地域の「国籍問題」として同時代的に提起されていた様相を検討した。そして同時代の日韓基本諸条約の締結、沖縄の返還と日中国交正常化などを背景とする国際情勢の変動のもと生じた国籍概念のゆらぎや衝突が、人びとの抵抗のあり方に反映される過程を分析した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果の意義は、第一に、先行研究において固定的でナショナルなものとみなされてきた戦後における人びとの帰属や「国籍」概念に対して、「国民」と「外国人」との間の境界が、実際には膨大な量の身元確認や、国籍変更手続きなどの現場の実践に加えて、人びとの抵抗や運動に伴う下からの働きかけのもとで、ゆらぎや緊張、矛盾を孕みながら変遷していったこと、すなわち複雑な「国籍」概念の変遷とその史的展開を検討したことである。第二に、国籍に伴う制度的変遷を単線的な理解に留まらず、制度形成期の過渡期を生きる人びとの経験から捉えかえすことで、同時代の「コリアンディアスポラ」を再考するための視点を提示した点にある。
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