研究課題/領域番号 |
20K22019
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0103:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 早稲田大学 (2022) 大阪大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
西井 麻里奈 早稲田大学, 社会科学総合学術院(先端社会科学研究所), 助教 (30836078)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 戦災都市復興 / 広島 / 戦災者援護 / 戦後住宅対策 / 復興の記憶 / 戦後住宅政策 / 戦災復興 / 失業対策事業 / 住宅 / 原爆 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、以下の3つの小課題に分けて進める。 [A]戦災者の住宅対策に関する研究:戦後の都市部における激しい住宅難の実情とその解決方法が、戦後住宅政策の立案過程ではどのように理解されてきたか、特に戦災者への援護に関する議論のなかで、住宅についての施策がどのように検討されたかを明らかにする。 [B]復興をめぐる集合的記憶形成の力学に関する研究:「廃墟からの復興」が敗戦後の困難の「克服」経験として定位され、復興についての肯定的記憶が形成される過程を検討する。 [C]復興をめぐる個人の記憶と経験に関する研究:特に戦後広島の事例について、復興する都市空間を生きた人々の住まいに関する語りを考察する。
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研究成果の概要 |
本研究は、過去の戦災都市復興と住民との関係、都市都市復興についての記憶のあり方について、広島の復興を事例とし【A】戦後日本社会における戦災都市復興の集合的記憶の形成過程、【B】戦災復興期の都市における住宅対策の実態、を明らかにするものである。 本研究を通じ、【B】復興事業、住宅対策、戦災者援護が、対象とする人と空間を同じくしながらも、その相互の影響関係を意識した連携が、住民の生活再建を軸に行われることがなかったこと、被爆地の復興に関する記憶は復興期の住民の困難の経験を内包しつつも肯定的・積極的なメッセージの発信を支えている現状を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、戦災都市復興を住民がどのように経験したか、という点に加え、被災地域は過去の戦災復興という経験を現代においてどのように記憶し活用していくか、という点について研究した。戦災都市復興は、敗戦後の困難の「克服」という、未来志向で肯定的な歴史上の経験として広く記憶・認識されてきた。復興事業において大規模開発が先行し、被災者の生活再建を支え、守るよう求める声が繰り返しあげられることは、決して新しい現象ではなく、敗戦直後の空襲による廃墟からの都市部の復興過程でも生じていた事態であり、戦災復興の実態と記憶、とくにその両者の内容の乖離が如何にして生じたかについての解明は、現代的な課題でもある。
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