研究課題/領域番号 |
20K22028
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0103:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 島根県立大学 (2022) 愛知大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
深串 徹 島根県立大学, 国際関係学部, 准教授 (90881657)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 台湾 / 脱植民地化 / 視覚障害者 / 戦争 / 視覚障害教育 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、日本からの脱植民地化が、台湾の視覚障害者のおかれた状況にどのような変化をもたらしたかを検討するものである。具体的には、以下の二つの視点から分析を行う。第一に、植民地統治終了の前後で、視覚障害教育の内容、視覚障害者の就業パターン、公的支援の実質にはどのような変化が生じたのか。第二に、学校教科書やメディア等において、視覚障害者はどのように社会的に表象され、その表象は植民地統治の終了前後でどのように変化したかである。このような検討を通じて、先行研究の少ない台湾の視覚障害者政策の歴史的な背景を整理するとともに、視覚障害者の観点から脱植民地化の一断面を明らかにするのが本研究の目標である。
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研究成果の概要 |
本研究は、日本からの脱植民地化前後で台湾の視覚障害者の境遇に生じた変化を検討し、以下の二点が判明した。(一)中華民国による接収後、日本点字に代えて注音符号点字が導入されるなど脱日本化が進められる一方で、職業教育としては日本統治時代に導入された按摩が引き続き重視された。(二)中華民国時期になっても戦時体制が継続したことにより、視覚障害者は献金や軍人への慰問など、日本統治時代と同じような方法で戦争に関与した。また、国家元首の仁愛や恩徳を証明する存在として、あるいはハンディキャップを負いながらも国策に貢献しようとする愛国的な国民として、宣伝に用いられることもあった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的・社会的意義は、従来もっぱら健常者の回想や記録をもとに再構成されていた日本統治時代から中華民国時代への移行過程が、視覚障害者にとってどのような経験であったかを部分的に明らかにし、台湾の脱植民地化研究に新たな視角を提示したことである。また、視覚障害者と戦争との関わり方など、二つの時代に存在した連続性についても新しい事実を発掘することに成功した。
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