研究課題/領域番号 |
20K22031
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0103:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
吉川 和希 関西大学, 文学部, 准教授 (60881464)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ベトナム東北地域 / 18~19世紀 / 社会変容 / 在地首長 / 土司 |
研究開始時の研究の概要 |
近年の学界では西南中国から東南アジア大陸部に及ぶインドシナ半島北部山地が注目を浴びており、特に山地世界の中でも平野部の王朝権力から比較的高い政治的自立性を保持していた地域の住民の生存戦略が解明されつつある。しかし、平野部の王朝権力に対して比較的従順な態度を示してきたベトナム東北地域に関する歴史学的研究はほぼ皆無である。以上の問題意識のもと、本研究は未公刊の新史料の分析を通じ、18~19世紀のベトナム東北地域における社会経済構造とその変容、王朝権力の支配の変遷、及びそれに対する在地住民の対応を解明し、西南中国から東南アジア大陸部にかけての山地世界の歴史的文脈の中に位置付けることを目指す。
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研究実績の概要 |
東北地域のなかでも18~19世紀の諒山・高平二鎮(省)に焦点を当てて地方支配の変遷を分析し、ベトナム王朝(黎朝・阮朝)の地方支配の変遷や現地住民の動向を解明し、論文三本を発表した。それらの論文で以下の事実を明らかにした。 (1)18世紀には諒山鎮の首長集団はいずれも社ごとの徴税・徴兵を管轄し、同時に鎮官とのあいだで行政文書がやり取りされており文書行政に組み込まれていた。(2)18世紀の諒山鎮の首長集団は動乱鎮圧を通して黎鄭政権の地方支配に協力することで黎鄭政権から官職を授与されたり管轄を承認されたりしていた。(3)1802年に北部ベトナムを掌握した直後の阮朝は、黎朝後期の情報を継承できておらず、阮朝朝廷にとっては尚更北部山地における首長の任命権の掌握は困難だった。(4)阮朝朝廷が有する北部山地関連の情報および阮朝の地方支配に協力し各社の徴税・徴兵を担う在地首長の数が黎朝後期の水準に回復したのは、嘉隆9年に首長のリストを作成した時だった。このリストには各首長の貫や管轄対象が記載されていた。(5)1820年代から敢行された北部山地における明命帝の行政改革は、行政単位の再編を通じて首長の任命権を阮朝朝廷が掌握するものでもあった。(6)ただし明命年間の行政改革後も諒山省では人丁の把握が進んだとはいえず,さらに1850年代以降の武装集団の騒擾により阮朝の支配は危機的状況に陥った。かかる状況下で現地住民の中から旧土司が「ベトナム王朝に忠誠を尽くしてきた」存在として注目され,1850年代前半に諒山省・高平省では土司が復活した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍による各国の出入国制限が緩和され、ベトナムでの史料調査が可能になった。そのため8月・12月の二度ベトナムでの史料調査をおこない、18~19世紀の文書史料を収集することができた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きベトナムに渡航して史料調査をおこなう。また既収集史料の分析を進め、論文を執筆する。
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