研究課題/領域番号 |
20K22032
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0103:歴史学、考古学、博物館学およびその関連分野
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
古澤 義久 福岡大学, 人文学部, 准教授 (40880711)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 遼東系土器 / 塞杆状ガラス器; / 銅釧 / 五銖銭 / 楽浪系土器 / 弥生時代 / 姪浜遺跡 / ろくどん遺跡 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は弥生時代や、その併行期の日本列島・韓半島中南部で遼東系土器がどの程度出土しているかを実物資料で確認し、日本列島・韓半島中南部と遼東地域の具体的な交流関係の解明を目的とする。 従来、楽浪系土器と評価されてきた土器群は遼東系土器を含むと考えるため、まず、遼東系土器と楽浪系土器を比較してその差異を明らかにし、弁別基準を示す。 その際には、従来の研究で等閑視されてきた縄原体の観察なども実施する。遼東郡は文献史研究では公孫氏と東夷との関係を探る上で重要視されるが、考古学的にその関係性を明らかにする端緒を掴む。
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研究実績の概要 |
漢代の遼東郡と日本列島との関係を考える上で、今年度は中国貨幣や銅釧の問題について扱った。遼東郡・楽浪郡など郡県を中心に、夫餘、沃沮、高句麗、韓、倭に広く分布する中国貨幣について検討した。鴨緑江上流域では例外的に戦国貨幣以来の貨幣が分布し、一部の都市では貨幣が流通していた可能性を文献と照らし合わせて指摘した。それ以外の周辺諸民族では五銖銭の段階になって中国貨幣が広く分布するが、武器を飾り付けるためなど貨幣としての流通以外での用途が目立つ。また吉林省通化市万発撥子遺跡で出土した銅釧を検討した。従来この種類の銅釧は戦国時代の所産とされてきたが、共伴する土器や塞杆状ガラス器を東北アジア規模で類例を集成し、時代を勘案した結果、武帝代以降の西漢代であることが判明した。そして同種の銅釧が沃沮の文化と目される団結文化(クロウノフカ文化)に属する咸鏡北道茂山市虎谷でも出土しており、高句麗関連集団と沃沮が交流していたことを指摘した。このように遼東郡をとりまく諸地域では、五銖銭など中国貨幣をはじめとする漢系文物が武帝代に広く分布するようになるが、これは武帝の領土拡張による直接的な契機が考えられるだけではなく、銅釧で示されたように東夷諸民族同士での遠距離交流が強化された面もあることと考えられた。そのため、日本列島で出土する遼東系土器についても、単純に武帝の領土拡張によるものと考えるよりは、武帝の領土拡張が刺激となって各地域が交流網を強化した結果によるものではないかとの見通しを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
北部九州出土遼東系・楽浪系土器との比較研究を目的とした海外調査を実施する予定であったが、コロナによる影響で遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
中国への調査が難しいので、韓国での出土事例や北部九州での調査を継続する。特に糸島地域における資料について検討する。
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