研究課題/領域番号 |
20K22043
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0104:地理学、文化人類学、民俗学およびその関連分野
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
竹内 愛 南山大学, 人類学研究所, 研究員 (00804387)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 2015年ネパール大地震 / 新型コロナウイルス / 女性自助組織 / コミュニティ復興 / 災害レジリエンス / ネワール民族 / パタン / 農民カースト / ネパール大地震 / 新型コロナウイルス・パンデミック / 複合的被災状況 / ネットワーク / 災害弱者 / グローバル化 / 相互扶助 / 新型コロナウイルス感染症 / パンデミック / 女性自助組織ミサ・プツァ / 旧王都パタン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の概要は、ネパールの旧王都パタンにおいて、女性自助組織ミサ・プツァが、2015年大地震の復興過程において現下の新型コロナウイルスのパンデミックが発生するという複合的災害状況に、いかに対応して活動するのか分析し新たな災害ジェンダー論を構想することである。パタンでは、1990年代にNGOと地方行政によって女性の経済的自立を目指してミサ・プツァが設立されたが、その後、地元女性によって次々とパタン各地に設立され、開発本来の目的よりも地元女性同士の繋がりや共同活動に重きを置いて運営され地域ニーズに対応してきた。そのようなミサ・プツァが、複合的被災状況下で果たす役割とは何か、文化人類学的研究を行う。
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研究成果の概要 |
本研究では、ネワールの女性自助組織ミサ・プツァによる独特の災害復興プロセスを文化人類学的調査によって分析し、災害弱者の女性でなく復興主体としての女性自助組織に注目した新たな災害ジェンダー論を構想した。 調査地パタンでは、2015年大地震の復興過程にCovid-19パンデミックが発生するという複合災害に見舞われたが、ミサ・プツァはそれに柔軟に対応しリーダーシップを発揮して地域復興している。ミサ・プツァは2000年代から地元女性によって内発的に次々と設立され、地域活動を重視してきた。また、伝統的社会秩序に合わせた形で活動し男性からも信頼を得て、ジェンダー構造を変革しつつある点についても解明した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
研究成果の学術的意義や社会的意義としては、第一に、伝統社会における開発には「集団」の視点が重要であることを明らかにした点である。従来の開発理論において「個」のケイパビリティが強調され、「個」の自立を目指すことを目的としてきたが、ネワール独特の発想では、家族・親族という「集団」の発展が目指され、開発本来の活動と地元女性の考え方に齟齬が生じていることが明らかとなった。第二に、災害とジェンダー研究において、開発途上地域の女性は「災害弱者」として論じられてきたが、本研究では、女性自助組織が「復興主体」となっており、女性たちが地域活動を行うことで災害レジリエンス能力を高めてきたことを解明した点である。
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