研究課題/領域番号 |
20K22052
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0105:法学およびその関連分野
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
弘中 章 信州大学, 学術研究院社会科学系, 准教授 (00878382)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 一般労働法と公務員法との比較研究 / 非正規公務員 / 労働者災害補償保険法 / 国家公務員災害補償法 / 地方公務員災害補償法 / 職権探知主義・請求主義 / 過労死・過労自殺 / 官民均衡・官公均衡 / 公務員労働法 / 非正規公務員の災害補償 / 労働者労災保険及び保護法 / 公務人員退休資遣撫【血へんにおおざと】法 / 請求主義 / 職権探知主義 / 災害補償条例 / 災害補償 / 労災保険制度 / 公務災害 / 過労死 / 過労自殺 / 官民均衡 / 官公均衡 / 災害補償制度 / 令和3年過労死認定基準改正 / 公務員法 / 公務員法と民間労働法との関係性 / 委託型就業者 / 労災補償 / 公務災害補償 / 官民の制度比較 / イギリス法 |
研究開始時の研究の概要 |
労働者は、仕事が原因で病気になったり負傷したりすると、災害補償制度を利用できる。もっとも、民間労働者と公務員では別々に制度が構築されており、制度の利用条件が類似しつつも異なっている。そのため、実務上、公務員が民間労働者よりも救済されにくいという場面に遭遇することがある。これまでも、かかる差異の存在と問題性は指摘されてきたが、現行制度の差異の当否を検証した学術的な研究は見られなかった。そこで、本研究は、災害補償制度の実体・手続の両面において官民間の差異が生まれた原因を歴史的観点から分析するとともに、英国法との比較を交え、差異が存在することの当否を評価し、制度の改革に向けた議論を試みるものである。
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研究成果の概要 |
各制度の基本的な特徴として、国家公務員災害補償制度は個別の使用者責任を直接実施するものであって労働基準法に対応するものといえるが、地方公務員災害補償制度は個別の使用者責任を第三者的機関(地方公務員災害補償基金)に「代行」させる点で労災保険と国公災の中間に位置づけられる。また、各制度の実体面は極めて近接し、その要因として複数の可能性を指摘できるのに対し、手続面での異同(職権探知主義/請求主義等)がもたらされた要因は不明確である。以上の考察を踏まえた立法論として、国公災と地方の災害補償条例における手続の改善(請求主義への移行)が必要といえ、「災害補償制度の官民での統一化」が選択肢の一つとなりうる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
公務員労働法制に関する個別的な法学研究が少ない中、本研究が災害補償制度の官民比較を行ったこと自体に学術的な意義が認められる。今後、同様の手法により他分野の分析を積み重ねていくことで、官民の労働法制を比較・分析する枠組みを洗練させるとともに、「公務員労働法」の総合的な理解を深めることが期待される。 また、公務員の過重労働が社会問題となり、精神疾患等を発症して休職する公務員が増加する一方で、公務災害補償制度についての文献は多くないのが現状である。そうした中、本研究の成果は、公務災害の実務に関わる法律家たちの知見向上に役立つものであり、社会的意義を有している。
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