研究課題/領域番号 |
20K22060
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0105:法学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
福原 明雄 九州大学, 法学研究院, 准教授 (90878258)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | リバタリアニズム / 分配施策 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、分配に消極的な正義論上の立場であるリバタリアニズムのなかで、比較的穏健な立場がどのような分配施策を採用し得るか・親和的であるかを明らかにするものである。本研究の理論的側面として、より精緻なリバタリアンが分配を認めるべき理由や、これと適合的な分配施策を検討するものである。本研究は理論的なレベルでの研究であるが、実践的な示唆として、今後、手厚い福祉国家的施策が困難になる中で、より抑制的な分配施策の基礎を与えることを念頭に置くものである。
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研究成果の概要 |
本研究は、学問的・社会的に関心を集めるベーシック・インカムについて、申請者がこれまでに研究してきた、穏和なリバタリアニズムからどの程度擁護が可能であるか検討するものであった。BIについては様々な分野から様々な立場の議論が為されており、穏和なリバタリアニズムからも擁護は可能であるが、分配的正義に止まらない数多の同床異夢を抱えていることが明らかとなり、BIと特定の分配原理の接続可能性という関心では捉えきれない側面が次々と浮き彫りとなった。これを受けて、何がBIを、より一般的には特定の分配施策を取る意義であるかを、分配的正義の原理側がどう受け止められるのかを説明する必要があるという課題が得られた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、日本における福祉政策に関する論議において度々話題に挙がるベーシック・インカムについて、穏当なリバタリアニズムからも擁護可能であることを明らかにした。一方で、巷間よく取り上げられるBIの実現可能性のような実践上の問題とは別の位相に、単に「分配的正義の具体化としてどのような施策が適切か」という関心では捉えられない、分配施策の性質による、正義構想との間で検討されるべき問題が存在していることも明らかにした。これは、今後の政策論議においても、高/低福祉という論じ方では足りない側面があることを示唆するものと考えている。
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