研究課題/領域番号 |
20K22084
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0107:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小寺 寛彰 東北大学, 経済学研究科, 講師 (60881828)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 高齢化による年金制度の維持 / 補助金年金制度 / アメリカ経済 / 世代重複モデル / 年金システムの維持 / 高齢化 / 補助的年金制度 / 家計 / 年金制度 / 税制度 / 高齢化社会 / 家計モデル |
研究開始時の研究の概要 |
先進国で高齢化が進行している今、多くの先行研究が、年金システムの維持に関する議論が行われている。しかし、その全てが個人の行動を前提としており、現実経済に沿っていない。現実経済では、配偶者がいる家計が大半であり、家計の直面する税制度と年金制度は、個人のそれらとは、大きく異なる。そこで、本研究は、家計を主体として、上記の問題を再考する。具体的には、高齢化社会が進行すると、i) 年金の支出を賄うために、若年世代の税負担はどのくらいかかるか、ii) 年金制度の改革は、若年世代の税負担をどのくらい軽減するかを、定量的に評価する。また、税制度や年金制度と年金システムの維持との関係性も併せて考えていく。
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研究成果の概要 |
本研究では、高齢化が着実に進むアメリカ経済で、将来、年金制度の維持のために若年世代にどのくらい税負担を強いられるのかを、家計の観点から検証した。特に、この検証では、補助的年金制度(配偶者年金制度、および遺族者年金制度)と年金制度の維持との関係性に焦点をあてた。家計の異質性を考慮した世代重複モデルを使って、アメリカ経済の将来をシミュレーションした結果、補助的年金制度の存在が、若年世代への税負担を著しく重くし、現役世代の若年層や将来の世代の経済厚生に負の影響を与えることが分かった。また、この結果は、たとえ年金受給開始年齢を引き上げても、影響は大きく変わらないことも明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまで、高齢化による年金制度の維持に関する既存研究では、主に個人を家計とみなし議論されてきた。しかし、現実経済では、家計の殆どは夫婦で構成されている。したがって、本研究は現実経済をより反映したものといえ、大きな学術的貢献といえる。 また本研究では、補助金年金制度が年金制度の維持に重要な役割を果たすことが分かった。具体的には、補助金年金制度の廃止は政府の年金支出を下げるのみならず、既婚女性の労働意欲も高め、将来の若年世代への税負担に影響することが分かった。この点は、高齢化が着実に進むアメリカ経済で、補助金年金制度の是非に一石を投じうる重要な示唆といえ、本研究の社会的意義も大きいと考える。
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