研究課題/領域番号 |
20K22095
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0107:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 城西国際大学 (2021-2022) 九州大学 (2020) |
研究代表者 |
小松 悟朗 城西国際大学, 国際アドミニストレーション研究科, 准教授 (60878247)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 長期停滞 / DSGE / ヒステリシス / 金融政策 |
研究開始時の研究の概要 |
08年の米国金融危機以降、世界経済は日本の「失われた20年」のような「長期停滞」に陥っている。とりわけ、過去の大きなショックが非定常なGDPの下落を引き起こす「ヒステリシス」(履歴効果)は、長期停滞の最大の問題の1つであり、現在このモデル化と政策対応が各国政府の喫緊の課題となっている。 本研究では、金融・財政政策の標準モデルである基本的なニュー・ケインジアンDSGEモデルによる、長期停滞ヒステリシス(非定常)モデルの再現と金融・財政政策のシミュレーションを行う。これまで取扱えなかった単位根過程を含むDSGEモデルの開発に広く適用され得るモデル開発手法の提唱も目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、(1)金融・財政政策で主流のDSGEモデルによる長期停滞ヒステリシス(非定常)を再現するモデルを開発し、(2)開発されたモデルを用いて金融政策のシミュレーション分析を行うことである。長期停滞による産出量の非定常な下落を再現することで、単位根過程を含むDSGEモデルの開発に広く適用され得るモデル開発手法の提唱を目指している。
本研究ではこれまで、(1)の長期停滞ヒステリシスモデルの開発と、(2)における政策シミュレーションのパラメータの検討、ならびに開発されたモデルを用いたインパルス応答関数による予備的シミュレーションを行なった。長期停滞ヒステリシスモデルの開発においては、過去の負のショックが残り企業の再参入が阻害されマクロ集計において直接価格最適化ができず、ショックの履歴を残す過去の産出水準に制約された価格最適 が行われるという着想をもとに、非定常なGDPの差分である定常なGDP 成長率を用いた供給曲線を開発した。 次に、この開発されたモデルのパラメータの検討を行った。基本DSGEモデルであり金融政策のベンチマークとなるGali (2015)のパラメータを援用しながら、ヒステリシスの強度を示すパラメータの値を変えながら、DSGEのインパルス応答関数により供給ショック、需要ショックならびに金融政策ショックが産出水準とインフレに与える影響をシミュレーションした。
今後は、これまで開発した長期停滞ヒステリシスモデルの合理的期待均衡解導出におけるパラメータ空間の検討と、ベンチマークモデルとのシミュレーション比較を精緻に行い、モデルによる政策示唆を得る予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
長引くコロナ禍により、研究計画申請時の学会の中止、延期、または内容変更が重なることが多く、計画通りの研究遂行が困難となった。長引くコロナ禍で、オンライン授業の準備やその対応への負担が減ることがなかった。以上により、昨年度に引き続き、申請当初予定していた本研究へのエフォートを確保することが困難な状況が続いた。加えて、上記負担により研究が断続的になりやすく、研究を深化させることが困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、以下の2つの推進方策により研究を遂行する予定である。
まず、現在まで開発できた長期停滞ヒステリシスDSGEモデルの合理的期待均衡解導出における、パラメータ空間の検討を精緻に行う。産出の単位根過程をもたらすパラメータの組み合わせと条件を解析的に検討し、可能であればその条件を命題としてまとめて提示する。
次に、DSGEのインパルス応答関数による供給ショック、需要ショックならびに金融政策ショックのシミュレーション結果を、ベンチマークモデルであるGali (2015)のインパルス応答関数と比較し、モデルによる産出ヒステリシスの影響を定量化し、それをもとに政策示唆を得る。
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