研究課題/領域番号 |
20K22098
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0107:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
周 梦媛 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 助教 (00880212)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 遺産動機 / 生前贈与 / 家族の伝統 / 家族コミュニティ / 遺産態度 / 間接互恵性 / 利他主義 |
研究開始時の研究の概要 |
伝統的経済学は合理的で利己的な経済人を前提に展開されてきたが、多くの実証結果で人の利他行動や非合理的な行動が観察されている。 そこで、本研究では、三世代における遺産の源(Inheritance Source)に依存する人間の遺産動機・意向の解明を目的とする。 特に家族コミュニティにおける、世代間の遺産動機・意向に基づく人間の利他性と非合理性に着眼した。具体的には家族コミュニティにおける利他主義を深く理解し、財政政策と富の不平等管理の有効性に関する知見を深める。
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研究実績の概要 |
本研究はZhou (2021)のBloodline-based Family Traditionモデルに基づいて、相続税を加え、親が子供に対する遺産行動はどのように変化するかを検証することである。財産を残す家族伝統により、親・配偶者の親から遺産をもらうことがあれば、増税されても世代間の富の移転を保つ傾向を予測した。 本研究は2011年の大阪大学の「くらしの好みと満足度についてのアンケート」から、5年後から全ての人に対し遺産額に一律20%の相続税が課せられることになったとしたら、遺産行動がどのようにチェンジするかの仮質問を利用した。実証分析によると、およそ3割の日本人は遺産額が変えないと選んで、3割の日本人は生前贈与を増やすことを選んだ。1.5割の日本人は遺産額を減らして、自分の老後の生活費を増やし、1.3割の日本人はもともと遺産を残すつもりはないことがわかった。Multinomial logit modelを利用し、日本の女性は自分の親から相続を受けること、また日本の男性は配偶者の親から相続を受けることがあれば、自分の子供に生前贈与を増額予定が観察された。Zhou (2021)で論じたようにBloodline-based遺産動機が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度は、Bloodline-based Family Traditionモデルに相続税を加える理論と実証両方が進展した。日本人男性・日本人女性よりそれぞれ違う実証結果を得、モデルからどのように説明するか、研究結果と文章にストーリー性を持たせることは長い時間を必要とするため進捗状況はやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
1) 現在進んでいる研究をまとめ、学会で発表し、学術誌に投稿する。 2) Zhou (2021)の不足と頑健性を補う研究は今後の課題である。Bloodline-based Family Traditionモデルは相続金額の増減が遺産動機への影響を考えたモデルである。しかし、Zhou (2021)の実証分析の部分は相続の有無のダミー変数を利用したことは欠点である。今後、慶應義塾大学の「日本家計パネル調査」を利用し、遺産の源(source of inheritance)による相続金額が子供への遺産贈与の意向にどのように変化するかを分析する。パネルデータを用い、差分の差分法で因果推論を行う。
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