研究課題/領域番号 |
20K22099
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0107:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
小西 杏奈 帝京大学, 経済学部, 講師 (70795921)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 付加価値税 / 欧州統合 / 財政 / 経済史 / 税の公平性 / 租税協調 / 国際課税 / 財政学 / フランス / 租税 / fiscal harmonizatioin / diffusion of ideas / VAT |
研究開始時の研究の概要 |
1967年の欧州共通付加価値税制の創設は、付加価値税制の世界的な伝播のきっかけとなった。本研究では、この欧州共通付加価値税制の具体的な内容を定め、いわゆる「EC型付加価値税」を誕生させた1977年の欧州理事会第六指令の策定過程を分析する。特に本研究では、欧州委員会やEC加盟国の一次資料を用いて、各アクターの政策意図と交渉過程を描くことを通じて、広く世界的に受け入れられている現在の付加価値税制のモデルとなったEC型付加価値税制の理論的・政治的正当性はどのような点にあるのかを解明することを目指す。
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研究成果の概要 |
本研究の目的は、欧州委員会の一次資料等を用いて、1977年の欧州共同体(EC)型付加価値税制の創設過程を明らかにすることである。EC型付加価値税制の創設を定めた理事会六次指令が策定は、租税制度の協調およびEC予算の独自財源を増大させることを通じて欧州統合を深化させるという理念が、加盟国間で共有されていたために実現した。一方、加盟国間で大きく異なる付加価値税制の課税ベースを共通化することは技術的な困難を伴い、かつ、途中からECに加盟したイギリスが、共通化された付加価値税がEC予算の独自財源となり自国の負担が増えることを懸念したため、EC型付加価値税は不完全な形で実現することになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
理事会六次指令によるEC型付加価値税の制定は、欧州経済共同体(EEC)創設以来進められてきた加盟国間の売上税制協調の一つの成果であり、かつ、その後付加価値税制がEC予算の初めての共同体税的性格を有する独自財源として位置づけられたという点で、欧州統合の歴史にとって重要な出来事であった。理念型としてのEC型付加価値税とその実態の乖離およびその乖離の要因も明らかにした本研究課題の成果は、これまでの付加価値税制研究だけでなく、欧州統合史研究にも新たな論点を提示するものである。
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