研究課題/領域番号 |
20K22103
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0107:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 中央大学 (2021-2023) 立教大学 (2020) |
研究代表者 |
岡本 千草 中央大学, 経済学部, 助教 (30882691)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 産学連携 / 知識波及 / スピルオーバー / イノベーション / 集積 / 大学 / 特許 / スタートアップ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、大学が産学連携(特に産学間共同研究)を通して地域経済成長にもたらす役割について分析を行う。産学連携では企業側と大学側の関係者が対面でコミュニケーションを密にとるため、それぞれが持つ知識が相手に波及しやすい。波及した知識は新たなイノベーションの源泉となるため、産学連携は地域経済成長を牽引すると考えられる。この仮説を検証するため、本研究では、産学間共同研究数増加の契機となった国立大学の独立行政法人化に着目する。この政策を準自然実験として計量経済学的分析手法を用いることで、国立大学の周辺地域では知識の波及を通じて地域イノベーションの量が増えたか、地域経済が成長したか分析を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は、大学が産学間共同研究を通じて地域経済成長に与える因果効果を検証することを目的としており、具体的に以下の二つの検証課題を掲げている。①国立大学の独立行政法人化後、国立大学の周辺地域では知識の波及を通じて地域イノベーションの量が増えたか。②国立大学の独立行政法人化後、国立大学の周辺地域では地域経済が成長したか。
昨年度までに、当初予定していた都市雇用圏単位の分析に加えて、企業・事業所単位の分析を開始した。いずれにおいても特許出願データから抽出した変数を、イノベーション量を表す目的変数として使用しているが、昨年度後半にデータの再作成の必要を確認し、本年度は昨年度の内容を受けて再び作成方法の検討と分析の再実施を行った。特に独法化による国立大学の特許行動の変化を考慮に入れ、変数の見直しを行っている。また、大学の持つ知識の影響が特許分野によって異なる可能性を考慮し、分析内容の再検討も行った。
さらに、大学が地域経済成長に与える因果効果のメカニズムを検討するために、大学と企業の立地の関係性についても検証を進めている。昨年度は企業規模関係なく研究活動に従事する企業全般に着目したが、本年度はスタートアップに着目して検証を行っている。具体的には、日本国内のスタートアップに関するデータベースを使用してスタートアップの事業分野を特定し、各事業分野の集積場所を空間計量分析を用いて検出を行った。その結果を研究ノートとして公表しており、その中で東京大学周辺が「医療・ヘルスケア」分野の集積地になっていることを確認している。また、スタートアップの立地場所の特性や、スタートアップが生まれやすい地域環境についても検証を行っており、それらの分析の中で大学からの近接性についても着目している。現在、結果の頑健性のチェックを行い、結果の論文化を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究実績の概要に記載した通り、特許出願データを用いた独法化の影響に関する分析について特に遅れが生じている。研究開始当初、計画に基づいて都市雇用圏単位の分析を行ったが、仮説は必ずしも正しくない可能性が示されたため、その理由を明らかにするために企業・事業所単位の分析を追加した。これらの分析を行う中で、特許出願データから抽出する特許とその集計方法を見直す必要性を確認するに至った。このプロセスは独法化が知識のスピルオーバーを通して地域経済に与えた影響を推定するために必要不可欠なプロセスであり、検討を重ねる必要があったため、研究計画の進行に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
特許出願データを用いた独法化の影響に関する分析について、データの再作成を終えて、新しいデータを用いて再分析を行った段階であり、次年度は結果の頑健性のチェックを行った後に、論文の修正を行う。また、それに関連した新設スタートアップの立地場所に関する分析についても、本年度の学会やワークショップでの発表を受けて分析内容の再検討を終えた段階であり、次年度はその結果を論文に反映させる。これらをディスカッション・ペーパー等として発表した後に、学術雑誌への投稿を行う予定である。
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