研究課題/領域番号 |
20K22107
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0107:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
永島 優 早稲田大学, 高等研究所, 講師(任期付) (70880277)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | HIV/AIDS / 抗レトロウイルス治療薬 / 感染予防 / 政策評価 / ボツワナ / 感染予防行動 / 治療無償化 / 政策効果 / 因果推論 |
研究開始時の研究の概要 |
社会調査データと医療機関データ、コンドーム配布施設データを地理的に結合して、差の差推定と呼ばれる因果推論手法を用いたデータ分析を行う。社会調査データは、2001年から2013年にボツワナで家計訪問調査によって集められた。これと各医療機関における無償ARTの提供開始時期のデータ、コンドームを無償配布した施設の配布開始時期のデータを結合して、HIV未感染者の感染予防行動が無償のARTやコンドームの提供開始前後でどのように変化したかを分析する。さらに、各政策による行動変化と実際の政府支出から、感染者数や政策コストを算出して、社会的に望ましい政策実施の在り方を定量的に検討する。
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研究成果の概要 |
研究費を使って雇用した研究補助の学生の貢献もあり、社会調査データと医療機関データを地理的に結合する作業が完了した。これにより、データを用いた分析が可能となった。研究期間中に得られた特に重要な発見は、(1) 無償ARTの提供機関がボツワナ全土で漸次的に拡大する様子には時間的・空間的なばらつきがあったこと、(2) 差の差法による因果推論分析の前提条件である、介入前期間におけるアウトカム変数の事前トレンドが有意に非平行でなかったこと、の2つである。この2つの発見により、差の差法による因果推論分析が不可能ではない蓋然性が高いことがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、治療へのアクセスを拡大することで感染症の予防行動が減少するという理論予測通りの行動変化が実際に起きたのか、データを用いて検証することを目的とし、HIV感染者率が世界の中でも極めて高いボツワナにおける無償ART提供政策の効果測定に取り組んだ。そのために、HIVの検査結果を含む社会調査データと、無償ART提供状況のデータを、地理的に結合し、差の差法による因果推論分析に取り組んだ。研究期間中に論文完成までは至らなかったが、今後解析と論文執筆を進めて、HIV/AIDSはもちろん、疾病予防において最も重要な問いの一つに関する信頼性の高いエビデンスを発表する下地が得られたことは意義深い。
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