研究課題/領域番号 |
20K22112
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0107:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
伊瀬 堂人 摂南大学, 経営学部, 講師 (20880701)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 利益調整行動 / 複雑性 / 構造推定 / 実体的裁量行動 / 経済的厚生 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、日本企業を対象に、利益調整行動の一つである実体的な利益調整行動(実体的裁量行動)の手法を特定化し、実体的裁量行動により生じる経済的影響を金額ベースで定量化することである。実体的裁量行動とは、広告宣伝費や研究開発費の恣意的な削減といった、営業活動を恣意的に調整することを指す。経営者の利益調整行動により恣意的な報告が行われた場合、投資家が適切な意思決定を行えず最適な資源配分が阻害されるため、経済的厚生、すなわち資源配分の効率性が損なわれる可能性がある。そこで本研究では、実体的裁量行動が将来的な経済的厚生に与える影響を金額ベースで定量化する。
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研究成果の概要 |
本研究では、日本企業を対象に実体的裁量行動を含む経営者の利益調整行動が社会厚生へ与える影響を検証した。具体的には企業環境をとりまく複雑性に焦点を当て、経営者が財務諸表の公開を通して、情報の非対称性を緩和するような行動を実施しているかどうかを検証した。複雑性を認識した経営者は情報の非対称性を緩和する行動を選択できる一方で、投資家に開示することを望まない情報を隠すために複雑性を利用する可能性がある。 分析の結果、経営者は複雑性を利用して利益調整行動を行なっている可能を示唆する結果を得た。利益調整行動を隠匿した場合、投資家の適切な意思決定が阻害され、社会厚生の損失を導く可能性がある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
一点目の意義として、企業を取り巻く複雑性を、経済環境の複雑性と会計環境の複雑性に区分し、定量化している点である。従来の研究は、経済環境の複雑性と会計環境の複雑性を区分できておらず、企業を取り巻く複雑性およびその影響に関する検証結果としては不十分である。 二点目としては、日本企業に関して、包括的に利益調整行動を考慮した経営者の報告戦略を動学的に分析している点である。経営者の報告戦略は各時点が独立したものではなく、過去の報告に条件付けて決定されている可能性を考慮して、利益調整行動に関する動学的な理論モデルの推定を行なっている。
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