研究課題/領域番号 |
20K22122
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0107:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
大越 裕史 岡山大学, 社会文化科学学域, 講師 (90880295)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 移転価格 / 独立企業間価格原則 / 製品差別化 / 研究開発投資 / 企業立地 |
研究開始時の研究の概要 |
企業の国際的な経済活動の活発化に伴い、多国籍企業による租税回避行動が顕在化しグローバル化の弊害も散見されている。多国籍企業の国境を越えた利潤移転による租税回避は、企業間取引価格(移転価格)によって行われている。OECDガイドラインは、独立企業間価格原則に従って、移転価格が適正水準かどうかを判断することを規定している。しかし、企業間取引で取引される財が十分に差別化されている場合、比較可能な取引価格が不透明であるため、多国籍企業は租税回避のための製品差別化を行う誘因が生じる恐れがある。 このような制度的背景を踏まえて、本研究では現行の国際課税の枠組みに対して、理論的な示唆を得ることを目的とする。
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研究成果の概要 |
本研究課題では、近年注目を集める多国籍企業の租税回避行動について、製品差別化という新しい観点から再検証を行ったものである。特に、企業が研究開発をすることによって、税務当局は企業独自の製品や技術に対する適正な取引価格の判断が困難になる点に注目し、移転価格規制が研究開発投資を妨げる可能性について考察を行った。研究の結果、移転価格規制が十分に強化されている状況においては、税収の増加による望ましい効果よりも研究開発の低下がもたらす望ましくない効果を上回ることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
多国籍企業による租税回避行動は、OECD諸国が近年議論を重ねるほどの重要な国際課税のトピックであり、移転価格規制の強化は必要な処置だと期待されている。本研究成果は移転価格規制がもたらしうる望ましくない効果に着目をすることで、移転価格規制の議論やルール策定の際に注意すべき点を明らかにするものであり、政策立案に重要な示唆を与えるものである。
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