研究課題/領域番号 |
20K22138
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0107:経済学、経営学およびその関連分野
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
舟橋 秀治 神奈川大学, 経済学部, 准教授 (40884383)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 人口回路網 / デリバティブ / モンテカルロ法 / 漸近展開 / 機械学習 / 確率ボラティリティモデル / ディープラーニング / 人工神経回路網 / 近似解 / Wiener-Ito Chaos展開 / カオス展開法 |
研究開始時の研究の概要 |
デリバティブやXVAの評価及びVaRや期待ショートフォールに代表されるリスク測度の計算には,モンテカルロ法に代表される数値計算法を用いる必要があり膨大な計算コストがかかる.本研究では,人工神経回路網の技術と漸近展開法を組み合わせた新しい手法を提案し,これらの計算を高い精度でかつ高速に実行する手法を開発することで,大規模計算に必要とされる計算リソースを大幅に削減することを目標とする.具体的には,本手法を①フラクショナル確率ボラティリティモデル,②解析解の存在しない複雑なデリバティブの価格付け,③モデルの市場へのキャリブレーションなどに応用することで,高速かつ安定した計算を実現し,実務へ還元する.
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研究成果の概要 |
本研究では,人口回路網(ANN)の技術と漸近展開法などの近似手法を組み合わせることで,デリバティブ価格を高速かつ安定的に,高い近似精度で評価する手法を開発した.特に,本手法を原資産価格が確率ボラティリティモデルに従う場合におけるヨーロピアン・オプションやバリア・オプションの価格付けに応用し,従来の手法と比べて,学習データ数を100~1000分の1に抑えながら,ハイパーパラメータ(隠れ層やノードの数)を従来の半分以下に設定しても,デリバティブ価格をこれまでよりも精度よく推定できることを証明した.また,本手法を金融実務上重要なSABRモデルへと応用し,数値例を通してその有用性を示した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
金融実務におけるデリバティブの価格付けには,モンテカルロ法に代表される数値計算法や漸近展開などの近似手法が広く用いられている.しかし,前者は膨大な計算時間を要し,後者は満期が長く,ボラティリティが大きい商品では近似精度が著しく劣化するという難点がある.本手法を用いることで,従来は数値計算法に頼るしかなかった金融商品でも,近似解と同程度の計算速度で,安定的にデリバティブの価格を計算できるようになった.金融機関で扱われる金融商品は取引額が大きく,僅かな推定誤差でも巨額の損失が生じる可能性があることから,機械学習を精度良く高速に実行する必要があり,本手法の金融実務に対する貢献は大きい.
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