研究課題/領域番号 |
20K22144
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0108:社会学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
坂井 晃介 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (10880974)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ポリツァイ / 歴史社会学 / 福祉国家 / 社会国家 / 警察 / 労働監督 / 労働監督制度 / 保険監督 / 機能分化論 / 社会システム論 / 社会保険 / 自己言及的システム理論 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、19世紀後半のドイツで成立した労働者社会保険立法の特質を、「ポリツァイ」概念の転換という観点から、歴史社会学的に明らかにするものである。特に、19世紀に再編されていった新しいポリツァイ学としての国家学の知見が、社会保険立法の形成過程においていかに受容され、政策形成に反映(あるいは無視・再編集)されていったのかを、議事録や官僚間の書簡などから分析する。具体的には、「ポリツァイ」「安全性」「公共の福祉」といったキー概念の運用に着目する。
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研究成果の概要 |
本研究では19世紀後半のドイツで成立した労働者社会保険立法の特質を、「ポリツァイ」概念の転換という観点から歴史社会学的に考察した。特にドイツ社会政策の根幹である労働者保護制度において、公衆衛生や生産管理などを含んだ幅広い統治の実践・理念・法令を指す「ポリツァイ」がいかに政策レベルで縮減し再編されていったのかを分析した。分析の結果、「ポリツァイ」概念の縮小と法治国家理念の定着によって、労働者保護政策において長らく重要な役割を担っていた警察は徐々に業務範囲を縮小させたが、代わりに専門職としての労働監督官が代替的役割を担うようになり、むしろ行政権力は拡大していったことが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、福祉国家形成においてポリツァイの理念と実践がどのように持続されつつ変化していったのかを考察した。それにより、警察と福祉という一見異なる原理を持つ制度が実は近接した歴史的出自を有していたことを示した。なかでも、警察史研究と福祉国家史研究の成果を統合しつつ、特に労働者保護政策における警察と新たな専門職の役割・機能の歴史的考察を考察した。ポリツァイは、法治国家以後の社会政策の形成において大幅にその意義・意味を縮小させつつも、新たな専門職と行政組織の形成を通じて、劣悪な労働環境といった社会的問題をこれまでと異なる形で解決することを試みたことが明らかとなった。
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