研究課題/領域番号 |
20K22152
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0108:社会学およびその関連分野
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
清水 拓 早稲田大学, 文学学術院, 助教 (80875203)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 石炭産業 / 炭鉱労働 / 熟練・技能 / 生産職場 / 自然-装置-人間 / 炭鉱技術 / 太平洋炭砿 / 熟練 / 機械化採炭 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では日本石炭産業の最終局面における炭鉱労働に着目する。採炭技術の発展によって炭鉱の生産現場は装置産業的様相を呈するようになった一方で、坑内労働の変容ついては等閑視され、ともすれば危険な重筋労働という平板なイメージだけが引き継がれてきた。そこで、1990年代の太平洋炭砿(2002年閉山)の採炭現場を対象に、そのレイアウトや作業内容を文書資料や聞き取り調査にもとづいて記述し、そこでの熟練を、労働者が扱う装置と労働者をとりまく自然との関係を手掛かりに分析する。これにより装置産業的要素と労働集約的要素をあわせ持った炭鉱の労働世界のありようを明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究では日本石炭産業の技術的到達点の生産職場を可視化した。1990年代の採炭現場は地上の工場同様の装置産業的様相を呈していた。とはいえ、地下ゆえに絶えず変化する自然条件の影響を受け、現場環境の不確実性の高さも維持されていた。採炭員の作業は「装置を作動させる作業」と「装置を作動させるための作業」からなっていた。それゆえ、一方では装置操作に関する技能が前景化しながらも、他方では、圧倒的な自然の影響下で装置を作動させるために、重筋的作業にもとづいた手工的な技能と、自然の微細な変化に対する固有の感度である「山を見る」技能の必要性も維持された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
社会科学においてはこれまでも石炭産業は研究対象となってきたが、その関心の対象は概ね1970年代までであり、1980年代以降の最終的撤退期の生産職場は研究対象とされてこなかった。本研究は、日本石炭産業の技術的到達点ともいうべき1990年代の「採炭プラント」における労働のありようを明らかにし、これまでの研究上の空白を補った。また、近年、環境への国際的な関心の高まりのなかで、人新世に関する議論も活発化している。人間と石炭のかかわりの歴史は、人新世の議論においても欠かすことはできない。本研究は、その検討材料を提供することができる。
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