研究課題/領域番号 |
20K22269
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0110:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 (2021-2023) 九州大学 (2020) |
研究代表者 |
田中 拓海 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 特任研究員 (30879820)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 記憶 / 行動結果 / 運動主体感 / 行為主体感 / 自己主体感 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトが適応的に生きる上で、過去のある状況で自分が何をして、その結果何が起こったかを覚えておくことは重要である。多くの研究で行動が記憶を促進する可能性が示唆されてきたが、そこでは行動と刺激が独立に扱われ、ある刺激が行動の対象や結果としての意味を持つことが記憶に与える影響は検討されてこなかった。そこで本研究では、(1)行動の対象と結果の記憶が他の刺激とどのように異なるか、(2)行動結果の存在は行動の記憶に影響を与えるか、の2点を検討することで、行動を中心とした一連のエピソード記憶が形成される過程を包括的に調べる。
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研究成果の概要 |
本研究から,行動の実行直後に提示されていた刺激は見ていただけの刺激よりも思い出されやすいことが明らかにされた。実際に行動を行ったときだけでなく,行動の準備段階においても同様に記憶の促進が示唆された。さらに,何らかの刺激を引き起こした行動は,刺激に後続して行った行動よりも記憶に残りやすいことがわかった。これらの知見に加え,行動に後続する刺激が結果として認識される知覚メカニズムを計算モデルによって検証した研究や,新たな行動と結果の関係が獲得される過程を明らかにした研究など,本課題の枠組みから行動と結果の記憶処理に関する広範な知見が得られた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で得られた知見は行動と記憶のインタラクションの新たな側面を示すものであり,将来的に行動と記憶に関する理論の発展に貢献することが期待される。特に、従来の研究が行動と刺激の時間的近接性のみに焦点を当ててきたのに対し、本研究では先行刺激や行動結果といった行動と刺激の機能的関係から分析する枠組みが有用であることを示した。行動による記憶促進の可能性は,環境との主体的なインタラクションを重視するアクティブ・ラーニング等の教育効果についても理論的根拠を与えうる。
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