研究課題/領域番号 |
20K22282
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0110:心理学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山内 彩 名古屋大学, 医学部附属病院, 臨床心理士 (50881984)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 22q11.2欠失症候群 / コホート / 前方視的追跡 / 支援ニード / 早期兆候 / 知的能力障害 / 自閉スペクトラム症 / 親子支援 / 精神障害 |
研究開始時の研究の概要 |
22q11.2欠失症候群は、幼少期から多彩な身体疾患が生じ、精神障害も高率にともなう指定難病の一つである。その症状は、成長発達の過程や取り巻く環境によって変化し、個人差も多様である。 本研究では、疾患コホートによる前方視的追跡を行い、患児の認知発達・行動特性や精神症状の臨床経過、患児・養育者が抱える心理社会的特徴や支援ニードについて検証する。早期徴候の把握や成長発達にあわせた患児・家族への心理社会的介入および支援方略について、実証的・臨床的示唆を与える研究知見を得ることを目的とし、予防-早期発見-予後予測-ニーズの多様性にあわせた包括的な支援体制の確立に向けたエビデンスの創成を目指す。
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研究実績の概要 |
22q11.2欠失症候群は遺伝性疾患であり、幼少期から身体疾患に加えて、知的能力障害、自閉スペクトラム症、統合失調症等の精神障害を伴うことも多い。精神症状は成長発達の過程や取り巻く環境によって変化して個人差も多様であることから、臨床経過を前方視的に追跡する研究が不可欠である。 本研究では、本症候群患児コホートの認知発達・行動特性や精神症状の前方視的追跡によって早期徴候や支援ニードを把握し、成長・発達段階にあわせた患児・家族への心理社会的介入や支援方略について、実証的・臨床的示唆を与える研究知見を得ることを目指すものである。 初年度(2020年度)は、フォローアップ調査の対象者(ベースライン調査を実施してから追跡期間3年に到達した患児およびその養育者の母親)14組から参加同意を取得した。調査期間として予定していた2020年度・2021年度は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響として調査の一時休止や延期をせざるを得ない状況も生じたが、社会情勢を鑑みながら感染防止対策の下で調査・評価を実施した。コホートの新規サンプリングについても継続し、2022年度に新たに研究同意を得た対象者に対して初回ベースライン評価を実施、これまでに計18組が参加した。認知発達・精神症状の評価は、本人・養育者に対して質問紙や面接法を用いて定量的検査を行い、養育者に対する面接にて本人や家族が抱える養育上の問題や支援ニーズに関する情報を聴取した。また、本研究の基幹をなす対象患児の認知発達・行動特性や精神症状に関する評価に用いている評価技術の精度維持・向上にも努め、既に保持していたADOS-2研究資格に加えて2023年度にはADI-R研究資格も取得した。得られた調査結果については、国内学会で2021年度・2022年度に発表を行い、2023年度は国際学会にて成果発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度(2020年度)で対象者14組から研究参加の同意は予定通り取得したが、本研究には面接形式で行う評価も含まれていることから、2020年初春からのCOVID-19流行による影響を研究開始して早々から受け、感染拡大予防の観点として調査・評価の一時休止や延期をせざるを得ない事態が生じた。当初の予定では、調査・評価を2年目(2021年度)の前半期にて完了してデータ解析に着手する予定であったが、COVID-19流行下での休止や延期による影響として調査期間の延長が必要となり、最終的に調査・評価の実施に要した期間としては2021年度後半期にまで及んだ。一方、調査期間を延長したことによって実施できた調査の最終成果としては、参加同意を得ていた14組中13組に対して遂行することができた[実施率93%]。 本研究で得られた知見の公表については、国内学会のみならず国際学会での発表や論文化を考えていた。しかし、前述したCOVID-19による影響として、調査実施の進行状況に遅延が生じたことや国際学会への参加については海外渡航がまだ困難な社会情勢であったことを鑑みて、2021年度・2022年度は国内学会にて発表を行い、2023年度は国内で開催された国際学会において発表を行った。 当初から予定していた論文化については、達成することを引き続き目指しているが、次年度に持ち越しとなったため、全体的な達成度としてはやや遅れているに該当すると考えた。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を1年間延長し、本研究におけるフォローアップ調査として集積した対象児・者への調査・評価のデータ結果の再解析、国際学会での発表成果を踏まえた論文化を進め、本研究で得られた知見の公表に向けた準備を引き続き進めていきたいと考えている。患児の認知発達・行動特性や精神症状の発生・進行の臨床像、そして患児本人・家族のニーズに応える心理社会的支援の方法を検討していくためにはデータの集積を継続していくことも重要であると考えるため、新規サンプリングにも引き続き取り組んでいく。そして、本研究で得られた知見については、国際誌への論文投稿によって広く公表していきたいと考えている。
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