研究課題/領域番号 |
20K22350
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0203:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
谷崎 佑弥 京都大学, 基礎物理学研究所, 助教 (90782102)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 量子ゲージ理論 / アノマリー / 一般化された対称性 / 半古典的計算法 / 量子アノマリー / ゲージ理論の相構造 |
研究開始時の研究の概要 |
ゲージ理論は,素粒子の標準模型はもちろんのこと,量子スピン系の低エネルギー有効理論としても現れうる.ゲージ理論の真空構造を理解することは,素粒子・ハドロン物理および物性物理における量子多体系の性質を理解する上で非常に重要である.しかしながら,例えば,標準模型のうち強い相互作用を記述する量子色力学は,強結合になるため摂動的な手法で理解することはできず,それを超えた非摂動的な計算が求められる. 本研究では,断熱的なコンパクト化による具体的な非摂動計算と,従来の対称性の概念の拡張に伴う量子アノマリーを組み合わせて応用することで,ゲージ理論の相構造の新たな理解を目指す.
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研究成果の概要 |
本研究において強い相互作用の基礎理論である量子色力学を解析的に調べる新しい舞台を整え,その領域におけるカラーの閉じ込め現象やカイラル対称性の破れを具体的に示すことができる計算手法を確立した.我々の住む4次元時空においてこれらの現象は場の量子論の強結合の解析を必要とするが,適切なカラー磁束が貫くコンパクト化された時空においては半古典的な計算により系統的な近似で示すことができる. このような特殊なコンパクト化は近年発展してきている場の理論の一般化された対称性から着想を得たものである.この研究ではさらに場の理論の一般化された対称性として非可逆的対称性を高次元の場の理論で初めて構成することにも成功した.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
場の量子論は量子多体系を調べるための大きなフレームワークを与え、その強結合領域には未だ多くの謎が残されている。量子色力学もそのような場の理論の一つであり、素粒子標準理論において核力をつかさどる強い相互作用の基礎理論となっている。このような理論の振る舞いを調べる新しい手法を作り上げそれらを発展させていくことは、量子色力学の振る舞いを理解するうえで重要であるのみならず、量子多体系一般をより深く理解するために欠かすことはできない過程である。 本研究で発展させた半古典的計算法や一般化された対称性は、上記の問題に対する新しいアプローチや視点を与えるものである。
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