研究課題/領域番号 |
20K22353
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0203:素粒子、原子核、宇宙物理学およびその関連分野
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
陳 たん 国立天文台, 重力波プロジェクト, 特任研究員 (20888086)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 重力波 / 重力波望遠鏡 / 較正 / 熱雑音 / キャリブレーション |
研究開始時の研究の概要 |
レーザー干渉計型重力波望遠鏡では、干渉光信号から装置の応答を較正して重力波波形への再構築が必要である。本研究では既存の3手法とは全く異なる熱雑音を利用した重力波信号の較正手法を開拓する。 電気的熱雑音が温度計の標準として確立されているのと同様に、重力波望遠鏡に現れる機械的熱雑音も絶対的較正の第一標準となり得る。本研究では他の手法と組み合わせて活用する相対的較正の原理検証を、km級重力波望遠鏡で唯一鏡の温度を変更できるKAGRAを用いて行う。 初めに熱雑音による較正値と他手段による較正値を比較、安定性評価を行い、次に温度依存性の確認とシミュレーションを用いた理論的確認を行い、最後に精度評価を行う。
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研究成果の概要 |
本研究では、レーザー干渉計型重力波望遠鏡の新しい較正手法として、熱雑音を基準にした手法(Tcal)の開拓を行った。初めに、既存手法であるPhoton calibration method(Pcal)の精度検証を行い、次にKAGRAのO3GKデータを使用し、Pcal信号とTcal信号の時間変動を比較した。結果、2つの信号間には強い相関があることが分かり、Tcalでも干渉計の時間変動較正を行うことができる可能性を示した。さらに相対的な時間変化較正だけでなく、絶対的な干渉計較正の可能性を示す足掛かりとして、温度に依存した熱雑音計算を可能にした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
レーザー干渉計型重力波望遠鏡の較正手法としては、主レーザーの波長や周波数を利用する手法や、補助レーザーの輻射圧を利用する手法が一般に知られているが、本研究では全く新しい熱雑音を利用した較正手法の開拓を行い、その利用可能性を示した。重力波望遠鏡を含む観測装置の較正において、独立した新たな手法が得られることは、観測データの較正精度の向上や信頼性を高める重要なことである。本手法をさらに発展、確立していくことで世界の重力波望遠鏡の観測精度を高めることに繋がり、重力波天文学へ大きな貢献が可能となる。
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