研究課題/領域番号 |
20K22358
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0204:天文学、地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
橋本 拓也 筑波大学, 数理物質系, 助教 (40870887)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 赤外線天文学 / 銀河形成進化 / 近傍銀河 / 電離光子 / SOFIA / 天文学 / 宇宙再電離 |
研究開始時の研究の概要 |
宇宙再電離とは, 宇宙誕生後およそ2-10 億年に起きた現象で, 宇宙空間の中性状態から電離状態への相転移現象を指す。主に初代天体が放射する電離光子によって引き起こされたと考えられているが, 十分な理解に至っていない。 近年, アルマ望遠鏡による超遠方銀河の観測から, 超遠方銀河が遠赤外線の微細構造輝線である炭素輝線 ([CII]158um)に対して相対的に強い酸素の輝線([OIII]88um)を放つことが明らかになった。超遠方銀河の電離光子脱出率が高いことが示唆される。本研究では, 近傍宇宙に存在する銀河を駆使し, 初めて電離光子脱出率の測定値と遠赤外線の光学特性の関係を明らかにする。
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研究成果の概要 |
銀河の遠赤外線の輝線光度比([OIII]88μm/[CII]158μm)と電離光子脱出の物理を観測的に結びつけることを目指した。研究代表者がSOFIA望遠鏡を用いて、近傍銀河の遠赤外線データを取得した。近傍銀河のアーカイブデータも組み合わせることで、[OIII]88μm/[CII]158μmが高い天体の特徴を明らかにした。さらに、光度比と電離光子脱出率を結びつける経験則を導くことに成功し、これを遠方銀河に適用した。遠方銀河が宇宙再電離を引き起こしやすい状況であったことを示した。論文が受理され、のちに出版された (Ura & Hashimoto et al. 2023 ApJ)。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
宇宙再電離現象とは、宇宙誕生後およそ2-10億年に起きた宇宙空間の最後の相転移を指す。未解明な部分が多く、現代天文学におけるフロンティアの一つである。とくに重要な課題の一つが、遠方銀河の電離光子脱出率の推定である。これは測定自体が難しいため、従来の研究では、銀河の紫外線や可視光の光学特性と電離光子脱出率を結びつける試みが主流であった。本研究では、近年のALMA望遠鏡の成果を時宜よく鑑みて、遠赤外線の特性と電離光子脱出率の関係に着目した点で学術的意義が高い。本研究の成果は、今後、ALMAやJWSTを用いた遠方銀河の研究成果を解釈する上で、土台になると期待される。
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