研究課題/領域番号 |
20K22359
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0204:天文学、地球惑星科学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
原田 真理子 筑波大学, 生命環境系, 助教 (80833631)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 抗酸化酵素 / シアノバクテリア / 酸化還元環境 / 活性金属中心 / 海洋化学組成 / SOD / 大気酸素濃度 / 金属活性中心 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、抗酸化酵素スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)の起源と進化を、生物学的研究と地球化学的研究の2つの側面から明らかにする。生物学的研究では、鉄(Fe)とマンガン(Mn) を活性中心とする2種のSODに着目し、その金属選択性が共通祖先からどう進化し、酵素活性を変化させたかを、祖先型SOD酵素の再生実験により明らかにする。地球化学的研究では、生物地球化学循環モデルを用いて過去の海洋中Fe, Mn濃度進化を計算し、生物学的研究から推定されたSODの金属選択性の進化と比較する。生物学と地球化学を融合させ、地球環境がSOD進化を決定したのか、地球環境とは独立にSODが進化したのかを解明する。
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研究成果の概要 |
本研究では、抗酸化酵素スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)の活性金属中心の起源と進化を明らかにすることを目的とし、分子系統解析および生物実験を行った。シアノバクテリアが保持する4種のSOD:鉄(Fe)、マンガン(Mn) 、銅・亜鉛(Cu・Zn)、ニッケル(Ni)を活性中心とするSODについて行った分子系統解析の結果、シアノバクテリアが保持するSODの活性金属中心は、海洋の溶存金属元素濃度の変動史と整合的に選択されてきた可能性が示唆された。このうちFeSODおよびMnSODについては、祖先型遺伝子配列の推定と遺伝子合成が完了し、今後、祖先型タンパク質の再生を行うことが可能である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
抗酸化酵素は現代の生物に広く分布し、活性酸素の毒性から生体分子を防御するために重要な役割を果たしている。しかしながら、その進化の過程は明らかでなく、種々の抗酸化酵素が選択されてきた背景も不明であった。本研究は、さまざまなSODが生息する化学的な環境に応じて選択される可能性を、シアノバクテリアと大気海洋の環境変動史との比較を例に明らかにした。同様の事象が他の生物や抗酸化酵素について検証されれば、抗酸化酵素の分布や役割の整理につながり、地球生命科学のみならず生物学等の他分野にも波及する重要性をもつと考えられる。
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