研究課題
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過去の巨大津波で移動した岩石(津波石)の移動履歴を、地磁気を利用した年代測定から解明し、環太平洋沿岸地域の津波災害リスクの低減に貢献する。そのために以下の3点に取り組む。(I)沖縄県石垣島、トンガ王国トンガタプ島とエウア島のサンゴ津波石の地磁気年代測定を行う。(II)放射性炭素(14C)年代とウラントリウム(U-Th)年代を用いて地磁気年代の検証を行う。(III)津波石に含まれる磁性粒子の特性を把握し、磁気が長い時間の中でどのように変化するのかを解明する。これらの目標を達成し、巨大津波の時間間隔を明らかにし、地磁気年代測定法を新たな年代軸決定方法として実用化する。
本研究では、地磁気を用いた年代測定手法を検証するため、石垣島の単一サンゴから成る津波巨礫を用いて、同一試料から地磁気年代と放射性炭素年代を測定し比較検討した。その結果、拡張された理論に基づく地磁気年代測定では、放射性炭素年代と同等の年代値を得ることができた。また、複数の年代測定技術を組み合わせることで、2回目以降の移動年代を明らかにしただけでなく、トンガ王国の津波巨礫の移動年代も推定することができた。
巨大地震・津波の再来周期を把握することは、将来起こり得る自然災害の被害を軽減するために重要である。津波で転がった巨礫は景観として印象的なだけでなく、過去の津波災害の危険性を現代に伝承する貴重な試料である。この津波巨礫が何回移動したのかというシンプルでありながら、これまでの技術では解消できなかった課題に、地磁気を用いた年代測定技術を用いて取り組んだ。その結果、石垣島の津波巨礫から少なくとも2回の移動の痕跡を取り出せただけでなく、トンガ王国の津波巨礫の移動してきた年代をも明らかにできた。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (3件)
Journal of Geophysical Research: Solid Earth
巻: 126 号: 12
10.1029/2021jb023027
Geological Records of Tsunamis and Other Extreme Waves
巻: なし ページ: 777-793
10.1016/b978-0-12-815686-5.00036-5