研究課題
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近年、シリカ鉱物は様々な隕石中で発見され、熱史の推定に用いられようとしている。しかし、形成条件や相転移条件、相転移速度など、未だ定量的に明らかになっていないことが多く、議論は難化している。そこで、本研究では、シリカ鉱物の多形と低温の冷却速度が定量的に見積もることができるFe-Niメタルが共存するメソシデライト隕石を用いて、シリカ鉱物多形間の相転移速度を定量的に制約する。これにより、シリカ鉱物を熱史推定の新たな指標として確立し、これまで議論が困難であった石質隕石の低温熱史を明らかにすることができる。
本研究では、これまで鉄ニッケルでしか推定できなかった低温領域の冷却速度を石鉄隕石メソシデライト中のシリカ鉱物を詳細に分析することで、シリカ鉱物を用いた新たな推定手法の確立を試みた。分析結果から、シリカ鉱物であるクリストバライトからトリディマイトに相転移する冷却速度が0.003-0.01°C/day以下であることが示唆された。本研究を継続することで、これまで低温の冷却速度を推定できなかった金属鉄を多く含まない石質隕石の詳細な熱史を明らかにすることができると期待される。
隕石の冷却速度などの熱史は、これまで輝石や金属鉄などを用いて見積もられてきた。しかし、それらが示す熱史は限られた温度領域に限定されている。本研究では、高温から低温まで幅広い温度領域において、数多くの多形(形態)を持つシリカ鉱物に着目した。輝石と金属鉄両方を含むメソシデライト隕石中のシリカ鉱物を詳細に分析することで、シリカ鉱物が850-400℃以下までの冷却速度を示す新しい指標になりうることを明らかにした。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 9件)
Meteoritics & Planetary Science
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