研究課題/領域番号 |
20K22440
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0304:建築学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大津山 堅介 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任講師 (50881992)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 気候変動適応策 / バイアウト / 撤退 / 宅地の再自然化 / 事前防災投資 / 事前復興計画 / 復興事業手法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,経済成長を支えた都市区画整理,再開発等の事業手法に依拠した災害復興施策とは一線を画すバイアウトの国内適用可能性を検討する.IPCCが掲げる適応策の一つである撤退概念 (Retreat) は米国における具現化策として展開され,洪水常襲住宅地の再自然化によって復興期の移住再建並びに平時の恒久的減災に寄与してきた.本研究では,米国ハリケーン・サンディ被災地における同事業アウトカムの比較検証,被災地残存者・事業対象隣接地居住者への波及効果測定を通じ,宅地再自然化による公益性の定量的把握を目指す.本研究は平時復興期の連続性と「造らない復興」の選択肢を提供し,自然環境との緩衝点を探る研究となる.
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研究成果の概要 |
本研究は,自然災害の被害低減に資する宅地建物の撤退・再自然化の事例研究を通じて,減災・復興事業誌手法の検討・開発を行うものである.米国で展開されている宅地撤退(バイアウト事業)を管轄するFEMAの過去30年間のデータから,投じた予算の変遷並びに高床補助事業予算の変遷を定量的に示した.重要な結論として,米国における防災投資は被災後の復興予算から事前防災に制度的な重心移動が明らかとなった.また,バイアウト事業の非参加者へのインタビュー調査を通じ,被害の再発生度合いやコストだけではない地域への定住意向が示唆され,災害リスクという変数のみで移住定住選択を決定しているわけではないことも明らかとなった.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
研究機関全体の成果として,査読付き論文の発表1編,学会発表4編と「研究活動スタート支援」としては十分な成果が得られた.また同研究期間の後半には科研費「若手研究」に採択され,本研究の持続的発展もみられた.同様に本研究活動を通じて得られた国内外のネットワークによって国際共同研究も開始されたことから,研究スタートとしての意義を果たしたと考えられる. また社会的意義として,災害復興における「創造的」または「建設的」復興だけではなく、再自然化させる取り組みがあることを紹介し,そのメリットと課題も一定程度示すことが出来たと思われる.
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