研究課題/領域番号 |
20K22445
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0304:建築学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高取 伸光 京都大学, 工学研究科, 助教 (70880459)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 多孔質材料 / 塩化ナトリウム溶液 / 透水係数 / 変水位透水試験 / 吸水実験 / 塩溶液 / 塩類風化 / 吸水性 / 電気二重層 / 塩化ナトリウム水溶液 / ゼータ電位 / 凝灰岩 / 非平衡熱力学 / 毛細管現象 / 透水性 / 駆動力 / 塩移動 |
研究開始時の研究の概要 |
塩類風化は建造物や屋外文化財など多孔質材料の材料の主な劣化要因として広く知られている.本研究では塩類風化抑制のため,多孔質材料中の熱や水分,塩の移動に加え,水分や塩が材料骨格部に加える応力を定量的に把握することを最終的な目標とし,研究の第一段階として多孔質材料中に存在する塩溶液移動の駆動力の測定方法を確立することを目的とする.なお,本研究ではまず初めに,多孔質材料中における塩溶液の移動現象を吸水実験により測定する.また,塩溶液の移動係数を定水位透水試験により測定し,多孔質材料中における塩溶液の移動を再現する数値解析により吸水実験の測定結果を再現できるよう塩溶液移動の駆動力を同定するものとする.
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研究成果の概要 |
本研究では多孔質材料中に存在する塩溶液移動の駆動力を明らかにすることを目的とした。得られた研究成果を以下にまとめる。1)変水位透水実験により凝灰岩の飽和時におけるNaCl溶液の透塩水係数を測定し、この結果よりハーゲンポアズイユ則に基づき塩溶液の密度および粘性係数を考慮することで透塩水係数を十分に再現出来る塩濃度領域と、できない領域が存在することを明らかにした。2)1)で用いた凝灰岩と同種の凝灰岩を用いた吸水実験を行った。その結果、変水位透水実験と同様に、純水よりも低塩濃度のNaCl溶液の方が吸水速度が早いという結果を得た。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
建築物および文化財の保存において、塩類風化など塩による諸問題への対策は年々その重要度が高まりつつある。多孔質材料中における塩の移動を数値解析により精緻に再現できる技術の開発は、塩類風化の対策を考える上で重要な役割を担う。本研究は、多孔質材料中における塩溶液の移動に着目しその移動性状を精緻に検討したものであるが、これまで建築分野で考えられてきた純水の移動理論とは異なり、塩溶液の移動にはその濃度が大きく寄与することが明らかとなった。これらの成果は今後建築物や文化財の塩類風化を予測するうえで重要な示唆を与えるものと考えられる。
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