研究課題/領域番号 |
20K22468
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0401:材料工学、化学工学およびその関連分野
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
植木 翔平 島根大学, 学術研究院理工学系, 助教 (50880382)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ラスマルテンサイト / き裂 / 転位 / 鉄鋼材料 / マルテンサイト / き裂伝播機構 / 透過型電子顕微鏡 / 疲労き裂進展機構 |
研究開始時の研究の概要 |
先進高強度鋼の主要組織であるラスマルテンサイトでは、その微細で複雑な階層組織に起因して、疲労き裂進展機構に関する微視的見地からの研究は困難とされていた。本研究では、ラスマルテンサイト組織における転位組織とき裂との相互作用を透過型電子顕微鏡内で直接観察し、組織要素レベル(マイクロオーダー)のき裂進展の素過程と対応付けることで、その機構解明を目指す。これにより、強度だけでなくき裂進展抵抗に優れる鉄鋼材料の開発指針が得られ、ラスマルテンサイト組織を基盤とする構造体の安全性ならびに信頼性の確保への貢献が期待できる。
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研究成果の概要 |
ラスマルテンサイト鋼におけるき裂進展機構を解明するため、き裂先端近傍の転位運動を透過型電子顕微鏡内で直接観察し、組織要素レベルでのき裂進展挙動との対応付けを行った。き裂先端およびき裂前方での転位挙動のその場観察の結果、き裂先端からの転位放出よりも先に、き裂前方の既存転位の活動が起こった。さらに、き裂先端からの転位放出が起こるまで荷重を負荷すると、既存転位の活動は顕著になり、既存転位同士の絡まり合いが起こった。これらのことは、ラスマルテンサイトの疲労き裂進展において重要な役割を担う、転位セル構造は、き裂前方の既存転位の活動および既存転位同士の絡まり合いによって形成されることを示唆している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、透過型電子顕微鏡を用いてラスマルテンサイト鋼のき裂先端における転位運動を直接観察し、先行研究で報告されているブロック内き裂進展と対応付けることで、き裂進展機構の理解を深めることに成功した。さらに、透過型電子顕微鏡内で引張荷重を負荷する試験片の観察領域に、所望の結晶方位を有する組織を配置する手法の確立に成功し、その応用範囲はきわめて広い。本研究で得られた成果は、き裂先端近傍の塑性変形挙動をトランススケールで理解し、き裂進展機構の解明に貢献する重要な知見を提供するものである。
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