研究課題/領域番号 |
20K22472
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0401:材料工学、化学工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
三溝 朱音 東京理科大学, 先進工学部マテリアル創成工学科, 助教 (00876047)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | p型酸化物半導体 / Sn2+酸化物 / 構造解析 / 酸素欠陥 / 物質合成 / 構造欠陥制御 |
研究開始時の研究の概要 |
人体に有害な紫外光を用いて発電する透明太陽電池などの革新的なデバイスの創生に向けて、新規p型酸化物材料の開発が必要である。本研究では、近年新しく開発に成功したワイドギャップp型Sn2M2O7(M=Nb, Ta)における酸素欠陥制御のための材料設計指針の確立を目指す。先行研究における、有効核電荷Zeffの大きなM=Taのときに酸素欠陥生成量が少ないという知見を基に、Zeffのより大きなSb5+,Bi5+をMサイトに高濃度に固溶させて複合酸化物を作製し、Mサイトの組成と酸素欠陥生成量の相関を明らかとする。また、さらに得られた設計指針を基に低原子価イオンを添加しp型伝導性の発現を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究ではp型Sn2M2O7における酸素欠陥生成を調べた。Sn2M2O7はSn4O四面体とMO6八面体の部分構造から成るが、酸素欠陥は主にSn4O四面体で生じていることを示した。また、Sn2Ta2O7ではTaO6側で構造歪みを許容するためSn4O四面体構造が維持される一方で、Sn2Nb2O7ではNbO6八面体が堅牢でSn4O四面体に欠陥が生じることを明らかとした。このような欠陥生成の違いはNbとTaの有効核電荷Zeffの違いに起因すると考えられ、これらの結果はより高いZeffを持つSbやBi元素をMサイトに選択することで高い正孔生成効率を実現できるものと期待されることを示している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
人体に有害な紫外光を用いて発電する透明太陽電池など、革新的なデバイスの創成に向けて、新規p型酸化物材料の開発が必要である。近年、軌道半径の大きなSn 5s軌道が正孔の伝導経路となるSn2+酸化物が新規p型酸化物として着目されているが、酸化分解を防ぐために還元雰囲気で焼成する必要があり、酸素欠陥生成に伴い生成する電子により電荷補償が生じ、正孔濃度を低下させることが課題であった。その中で、本研究は酸素欠陥生成を低減させるための物質設計指針を提供するものである。
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