研究課題/領域番号 |
20K22520
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0501:物理化学、機能物性化学、有機化学、高分子、有機材料、生体分子化学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
池田 龍志 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (20887278)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 量子ダイナミクス / 量子散逸系 / 非断熱遷移過程 / 量子非局在化 / 非線形光学応答 / スモルコフスキー方程式 |
研究開始時の研究の概要 |
光合成や光電変換などの数々の重要な過程において、色素は光を吸収しエネルギーを次の段階へ渡す役割を持つ。このダイナミクスはしばしば非常に短時間で起きるため、量子力学的な効果の記述が重要になる。実際に実験では色素の電子励起とその後の振動や構造変化を含む過程における量子的な振動シグナルが分光観測されているが、電子遷移と振動の理論モデルは独立に構成されることが多くまた単純に組み合わせることも難しく、一般的な状況に対し不整合のない枠組みで理論解析を行うことは未だ達成できていない。本研究では上記を解決して実験を記述する新たな理論の構築とその数値計算手法の開発を行う。
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研究成果の概要 |
本研究では散逸環境下の系の振る舞いを記述する新たな量子散逸系理論を構成した。新たな理論ではこれまでの理論で近似の破れや計算の発散によって描くことができなかった、非常に強い散逸を受ける系を記述することができる。電子状態と振動状態が強く結合した系ではこのような散逸を受ける量子状態がしばしば含まれること、および実際にこのような系の量子ダイナミクスを本理論で計算可能なことを数値的に示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
エキシトンやエネルギーの量子輸送問題についての振動状態の効果は実験的・理論的に興味がもたれているが、非局在な振動状態の重ね合わせは電子と振動の結合が強い領域で生じるものであり、結果としてそれらの量子状態と周囲環境も強く結合する。本研究で構築した理論によって今まで不可能であった強結合領域の振る舞いを記述することができるようになり、振動状態の量子効果の理論的予測および実験解析を促進すると考えられる。
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