研究課題/領域番号 |
20K22533
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0501:物理化学、機能物性化学、有機化学、高分子、有機材料、生体分子化学およびその関連分野
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
森田 健太 神戸大学, 工学研究科, 助教 (60804127)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ペプチド / 抗菌薬 / ハイドロゲル / ドラッグリポジショニング / 自己組織化 / 低分子ゲル化剤 / 抗真菌薬 / ドラッグデリバリーシステム / 分子動力学計算 / DDS |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、低分子ゲル化剤の自己組織化現象を積極的に利用することで、既存薬の薬理活性の制御に挑戦する。低分子ゲル化剤は、分子の自己組織化によりゲルを構築する。そこで申請者は、ペプチド型低分子ゲル化剤が高い生体適合性を持ち、疎水性分子を巻き込んでco-assembly・ゲル化することに目をつけた。低分子ゲル化剤と種々の抗菌薬を「水に溶かすだけ」で抗菌ゲルを作製し、その自己組織化成分をチューニングすることで抗菌性の制御を目指す。そしてキーとなる薬剤と低分子ゲル化剤が織りなす構造を、X線散乱や計算機シミュレーションを用いて決定し、co-assemblyがその薬理機能制御に重要であることを示す。
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研究成果の概要 |
本研究では、短いペプチド型ハイドロゲル化剤(P1)の自己組織化が、既存の抗真菌薬であるamphotericin B(AmB)に新たな抗真菌選択性を与えることに成功した。P1はAmBと複合体を形成することで水中に溶解した。その際、複合体化によってAmBは抗真菌活性を抑制された。プロテアーゼによるP1の分解によりAmBの抗真菌活性が回復し、プロテアーゼを分泌する真菌に対して選択的な殺菌効果を示した。自己組織化ペプチドと疎水性薬剤の複合体化を用いた戦略は、既存の抗真菌薬のドラッグリポジショニングにつながる可能性がある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
抗菌薬の新薬開発数は減少傾向であり、既存の認可薬剤をこれまで以上に有効活用することが求められている。本研究によって、自己組織化性ペプチド(P1)と抗菌薬のco-assemblyは、既存の抗菌薬の機能を制御してプロテアーゼ分泌菌への特異性を付与することが示唆された。プロテアーゼは、病原菌が分泌し、人体に感染する際に利用していることが知られている。P1を用いて既存の抗菌薬にプロテアーゼ分泌菌特異性を付与すれば、患者の組織やそれ以外の常在菌を保護したまま感染症治療を行うことができる。すなわち、既存の抗菌薬の適応範囲を広げる「ドラッグリポジショニング」を実現する可能性がある。
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