研究課題/領域番号 |
20K22553
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0502:無機・錯体化学、分析化学、無機材料化学、エネルギー関連化学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
砂賀 彩光 京都大学, 複合原子力科学研究所, 助教 (60885416)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 相対論的量子化学 / アクチノイド化学 / 化学結合 / 分子構造 / 電子相関 / 局在化軌道 / ウラニルイオン / 6p軌道 / アクチノイド化合物の構造 / スピン軌道相互作用 / 分子軌道ダイアグラム / 量子化学 / アクチノイド / 理論化学 / walshダイアグラム / 錯体化学 |
研究開始時の研究の概要 |
電子スピンと電子軌道間の相互作用であるスピン軌道(SO)効果を考慮した計算を行うことは困難であるが、アクチノイド化合物の真の電子描像を捉えるためには、SO効果を考慮できる新たな解析手法の開発が必要である。 そこで、本研究ではSO効果を考慮して重元素化合物の化学結合を解析する、相対論的計算手法を開発する。重原子の原子軌道を用いて解析を行うことで、計算における基底関数依存性を除去する。開発した手法をアクチノイド化合物に応用し、SO分裂したアクチノイドの5f軌道、6d軌道の化学結合への寄与を明らかにする。
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研究成果の概要 |
アクチノイド化合物は、重元素を含むため、スピン軌道(S0)相互作用のような相対論効果を取り込んだ計算を行う必要がある。当研究では、SO効果を考慮した、信頼できる精度を持つ化学結合解析を行うためのプログラムを作成した。作成したプログラムを用いてUO2(2+), UN2分子の化学結合を解析し、これらの分子が、屈曲構造においてもU-O, U-N間に 3重結合を形成していることを示した。また、当研究で相対論的CCSD(T)法を用いた高精度計算を行った結果、先行研究で報告された低精度なHartree-Fock法での予測と比べて、UO2(2+), UN2分子の屈曲構造が比較的安定であることが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
スピン軌道相互作用を考慮した分子軌道の射影電荷解析は、多配置性が重要となるd・fブロック原子の計算を行う段階が困難であった。当研究で相対論的な量子数κに対する占有数を指定して反復計算の収束を改善させるプログラムを開発したことで、この問題が解決された。作成したプログラムは全世界に無料で公開されているため、多配置性をもつ原子を含んだ分子の、スピン軌道相互作用を考慮した化学結合解析が加速することが期待される。また、ウランの6p(3/2)軌道がUO2(2+)分子の構造を支配することを見出したことで、アクチノイド化合物の構造に関する新しい知見をもたらした。
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