研究課題/領域番号 |
20K22602
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0604:社会経済農学、農業工学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター |
研究代表者 |
大倉 芙美 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 農村開発領域, 任期付研究員 (10880297)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 水配分 / 灌漑排水 / 水利組合 / 水利用 / 水田灌漑 / エージェントベースモデル / 水管理 / 気候変動対応 |
研究開始時の研究の概要 |
増加する人口を支えるために持続的なコメ生産が必要であるが,農家集団のみでは,気候変動のような未経験の変化に適応できず,行政機関が地域レベルの新たな水配分システム作りを支援することで,地域の課題に適した持続的な発展をする水田農業体系を作り出せる。そこで本研究では,発展途上国の行政機関が,水収支解析と社会科学の両面を備えた水配分計画の意思決定支援ツールを用いることを想定し,出力した複数の水配分計画案から,農家集団が協調行動を起こすような計画案を探索することを目的とする。これにより,行政と農家集団が協働的に関与する持続的な水資源管理の確立,そして,強靭で弾力的な水田農業体系の実現を目指す。
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研究実績の概要 |
バリ島にある対象とした灌漑地区の水配分を調査するため、2021年度に研究協力者へ観測機器を送り流量観測を開始したが、機器の設置が上手くいかずデータが取れなかった。また、研究協力者の状況も変わったことから、2022年度は、新たな研究協力者を加えた態勢で調査をすることとなった。そして、新たな研究協力者との協議の結果、これまでの対象地区よりもアクセスしやすい灌漑地区の方がより円滑に調査ができる可能性が高まりそうであるので、調査対象地を変更することにした。 渡航制限の緩和をうけて、変更した調査対象地にて、調査協力者と共に変更先の灌漑地区の概要や幹線支線用水路を確認、用水路内に水位計を11本設置し、水位の観測を開始した。また、水位計を設置した11点で流速も測定した。そして、ゲートキーパーや水利組合に対して聞き取り調査を実施した。その結果、対象地区内ではコメの2期作が多く、現在の取水慣行では3期作は難しいことが分かった。また、地区内の6つの水利組合は、灌漑地区を3つのグループに分け水配分を調整していることから、今後、水配分の分析には、水利組合だけでなく、グループについても調査する必要があることが分かった。 2021年度に査読中であった投稿論文が受理され、2022年度に掲載された。エージェントベースモデルとゲーム理論を組み合わせ、バリ島の水利組合に存在する資源配分に対する価値観を明らかにした。今後はこの手法を用いた水配分の評価を行う予定である。 また、渡航制限が続き、対象灌漑地区での観測ができない期間が長くあったため、国内にて同様の研究手法で現地調査を行い、これまでの成果を国内の学会で発表した。これまでの国内での調査経験をバリ島での調査に活用でき、より良い成果が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
渡航制限の中、観測機器の設置を試みたが上手くいかず、また、状況の変化から調査協力者と調査対象地区を変更することになった。渡航制限緩和後は、調査対象地区の再選定、観測機器の設置、短時間であるが聞き取り調査もできている。このように、当初の計画よりも調査は遅れているが、現在は計画した研究方法で調査を進められている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度も観測を続け、水配分の構造を明らかにするためにゲートキーパーと水利組合を対象とした聞き取り調査を行う予定である。そして、水配分は水が不足する乾季に課題が多いことから、2023年度の乾季(6~9月頃)における調査対象地区の水配分のモデル化と解析を行う予定である。
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