研究課題/領域番号 |
20K22631
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0701:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
好岡 大輔 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (00883084)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 1分子イメージング / 神経可塑性 / 軸索起始部(AIS) / イオンチャネル / PIP2 / 拡散 / エンドサイトーシス / エキソサイトーシス / 1分子イメージング / 脂質ドメイン |
研究開始時の研究の概要 |
正常な脳機能を維持するためには、個々のニューロンが入力に応じて出力を適切に調節する必要があり、この出力を決める部位は複数種のイオンチャネルが集積する軸索起始部(AIS)である。AISは形態的・機能的な可塑性を持ち、神経活動の変動に応じて柔軟に変化する。このAIS再配置の実態であるチャネル動態の素過程を定量的に解明するため、エキソ・エンドサイトーシスと側方拡散をイメージング計測する。特に、人為的にPIP2摂動を制御した環境下でチャネル動態のPIP2応答を解析することにより、PIP2がチャネル動態をどのように制御してAIS再配置、ひいては神経興奮性に寄与するのか明らかにする。
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研究成果の概要 |
電位依存性カリウムチャネルの一種であるKCNQ2/3は、イノシトールリン脂質PIP2により活性制御されることがよく知られている。高度に偏光した神経細胞では、KCNQ2/3は軸索起始部に局在し、その特徴的な空間分布は神経細胞の興奮性に直接関係する。本研究では、PIP2がチャネルのトラフィッキング制御に果たす役割を明らかにするため、生きた神経細胞におけるKCNQ3の空間動態を多分子および1分子レベルで定量的に解析した。その結果、PIP2結合能を持たない変異型KCNQ3は、チャネル活性に応じてトラフィッキング効率が低下することが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、神経におけるKCNQ2/3の空間動態を初めて1分子レベルで検出し、定量解析することに成功した。さらに、KCNQ2/3のトラフィッキング制御におけるPIP2結合サイトの新たな役割を明らかにした。病理学的にもAISの変容は双極性障害や統合失調症を含む神経精神疾患で一貫して観察される他(Iqbal, Hum. Mol. Genet., 2013)、KCNQ2/3のPIP2結合サイトにおける遺伝子変異はてんかんの発症原因ともなり得る。そのため、本研究で得られた成果はこれら疾患の発症機序の理解を助け、新たな治療・創薬戦略の基盤となることで医学・臨床の分野へも貢献することが期待される。
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