研究課題/領域番号 |
20K22634
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0701:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
野村 健 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (10706790)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 機械受容チャネル / メカノセンサー / 細胞膜張力 / タンパク質-脂質相互作用 / 大腸菌 / MscL / パッチクランプ法 / 電気生理学 / パッチクランプ |
研究開始時の研究の概要 |
大腸菌にはMscSとMscLと呼ばれる機械受容チャネルが発現している。真水などの低張液に晒されて菌体が膨張すると閾値の低いMscSから順に開口して水やイオンなどを放出することで細胞の破裂死を防いでいる。しかし、機械受容チャネルの機械刺激に対する活性化機構についての詳細は謎である。本研究は、細胞膜からの張力を最も感知していると考えられるMscLのPhe-78に着目し、これを他の19種類のアミノ酸残基に置換した突然変異体を作成し、低浸透圧ショック実験および電気生理学的手法であるパッチクランプ法を用いて、アミノ酸側鎖と脂質との相互作用、すなわちMscLの張力感知機構の解明を最大の目的とする。
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研究成果の概要 |
細菌機械受容チャネルMscLは、膜張力を直接感知し開口するが、その開閉機構については不明な点が多い。本研究では膜張力を最も感知していると考えられるF78に着目し、これを他の19種類のアミノ酸残基に置換した変異体を作成し、機械刺激に対する応答を調べた。パッチクランプ法によりイオン電流を計測したところ、酸性・塩基性アミノ酸残基に置換した変異体ではチャネル活性が見られなかったが、疎水性または親水性アミノ酸残基に置換した変異体においては、野生型と同様、または急速な開閉、開口時間が長い等の特徴を示した。以上の結果より、MscLの機械刺激感受性はアミノ酸残基の特性に大きく依存していることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
聴覚、触覚、平衡感覚および固有感覚などに関与する受容器として機械受容チャネルが広く知られている。なかでも大腸菌機械受容チャネルMscLは、その結晶構造が明らかになっており、機械受容チャネル研究の初期段階から格好の材料として用いられてきたものの、その開閉機構に関しては不明であった。本研究は、MscLの機械刺激感受性にアミノ酸残基の特性が大きく関与していることを明らかにした。これらの結果は、機械受容チャネルの開閉メカニズムに重要な知見を与えるとともに、機械受容チャネルが関与する疾患の解明にも貢献するものと考えられる。
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