• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

イネ栽培・野生集団におけるDNAメチル化変異の機能性と進化プロセス

研究課題

研究課題/領域番号 20K22671
研究種目

研究活動スタート支援

配分区分基金
審査区分 0703:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
研究機関九州大学

研究代表者

佐々木 江理子  九州大学, 理学研究院, 准教授 (20626402)

研究期間 (年度) 2020-09-11 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード野生イネ / DNAメチル化 / シロイヌナズナ / 栽培化 / イネ / トランスポゾン / ゲノム進化 / 栽培化プロセス / 遺伝的基盤
研究開始時の研究の概要

トランスポゾンは自己複製や転移によって宿主ゲノムに有害変異や多様性を与えるが、一方で宿主となる生物はトランスポゾンの活性をコントロールするDNAサイトシンのメチル化修飾(DNAメチル化)というゲノム防御システムを発達させてきた。このDNAメチル化は個体間に量的なバリエーションを持つため、量依存的にトランスポゾンの転移を調節し環境適応に関わっているという仮説が長く議論されている。本研究では、DNAメチル化に大きな多様性を持つイネの栽培、野生集団に注目し、量的遺伝学のアプローチを用いて、DNAメチル化の量的違いがトランスポゾンの転移に与える効果と進化プロセスを明らかにする。

研究実績の概要

本研究では、トランスポゾンの活性を調節するゲノム防御システムであるDNAメチル化形質がイネの栽培化においてどのように関与したのかという 問いに答えるため、イネ野生系統、栽培系統を対象にDNAメチル化表現型の定量と集団間の比較を行なった。長い栽培化の歴史を持つイネには、遺伝的な多様性に富む共通の祖先野生集団 Oryza rufipogonから派生したジャポニカとインディカという2つの大規模な栽培集団が存在し、ジャポニカとインディカ間では平均DNAメチル化量に約1.6倍という大きな違いがある他、トランスポゾンの転写活性が異なる事が報告されている (Li et al. 2012, BMC Genomics)。
2022年度までに、ジャポニカ、インディカおよびこれらの野生系統を含む96系統のイネ実生を対象にゲノムワイドDNAメチル化シークエンスを実施し、詳細なデータの取得を行なった。栽培系統に比べ、野生系統は高いDNAメチル化レベルを示すという傾向は変わらない一方で、従来の報告(Li et al. 2013, BMC Genomics)に比べてメチル化のゲノム平均レベルがいずれも低く、組織、生育ステージ、あるいは環境によるメチル化の違いが示唆される結果となった。
一方、2023年度ではイネと並行し自然集団のDNAメチル化データが利用できるシロイヌナズナを対象として広く真核生物に保存されているCGメチル化バリエーションのGWASを行った。その結果、クロマチン制御因子CDCA7の多型をCGメチル化バリエーションの原因遺伝子座として同定し、ゲノム編集を行なった変異体系統を用いて機能検証を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

96系統の野生イネのDNAメチル化データセットを構築し、1塩基レベルのメチル化プロファイルの解析を行なった。また、並行してシロイヌナズナ自然集団の解析を進め、真核生物に広く保存されているCGメチル化のバリエーションを制御する因子CDCA7を同定、機能検証を行なった。当初予定していたイネのメチル化バリエーションを決定する遺伝子座の解析は、表現型が従来の報告と合致しない点を再検証するため、やや遅れている。一方、シロイヌナズナを用いた解析は順調に進んでおり、イネの解析を補完する結果として用いることを計画している。

今後の研究の推進方策

複数の組織や生育ステージのサンプルを取得してイネのDNAメチル化量を定量し、収集したデータの評価を進める。また、共同研究機関が収集を進めている野生イネの高精度ゲノム情報を利用したゲノムワイド関連解析を実施し、原因遺伝子座の特定を進める。
シロイヌナズナ自然集団のCGメチル化バリエーションの調節因子として同定したCDCA7に着目し、イネにおけるCGメチル化バリエーションとの関連性を評価する。

報告書

(4件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 研究成果

    (12件)

すべて 2024 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (6件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [国際共同研究] Gregor Mendel Institute(オーストリア)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [国際共同研究] Institut de Biologie de ENS(フランス)

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [国際共同研究] Gregor Mendel Institute(オーストリア)

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [国際共同研究] Chinese Academy of Sciences(中国)

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [国際共同研究] Chinese Academy of Sciences(中国)

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
  • [国際共同研究] Chinese Academy of Sciences(中国)

    • 関連する報告書
      2020 実施状況報告書
  • [雑誌論文] The genetic basis of epigenetic variation and its consequences for adaptation2023

    • 著者名/発表者名
      Baduel Pierre、Sasaki Eriko
    • 雑誌名

      Current Opinion in Plant Biology

      巻: 75 ページ: 102409-102409

    • DOI

      10.1016/j.pbi.2023.102409

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Conditional GWAS of non-CG transposon methylation in Arabidopsis thaliana reveals major polymorphisms in five genes2022

    • 著者名/発表者名
      Sasaki Eriko、Gunis Joanna、Reichardt-Gomez Ilka、Nizhynska Viktoria、Nordborg Magnus
    • 雑誌名

      PLOS Genetics

      巻: 18 号: 9 ページ: e1010345-e1010345

    • DOI

      10.1371/journal.pgen.1010345

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Survival strategies and its molecular basis of plants through switching life histories2024

    • 著者名/発表者名
      Eriko Sasaki
    • 学会等名
      第65回日本植物生理学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] エピジェネティクスの遺伝学, シロイヌナズナ自然集団の一例2023

    • 著者名/発表者名
      佐々木 江理子
    • 学会等名
      第6回転移因子研究会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] The genetic basis of non-CG transposon methylation variation in Arabidopsis thaliana2022

    • 著者名/発表者名
      Eriko Sasaki, Joanna Gunis, Ilka Reichardt-Gomez, Viktoria Nizhynska, Magnus Nordborg
    • 学会等名
      第45回分子生物学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] The genetic basis of inherited DNA methylation variation in natural populations of Arabidopsis thaliana.2022

    • 著者名/発表者名
      Eriko Sasaki, Magnus Nordborg
    • 学会等名
      Integrative Epigenetics In Plants (Cold Spring Harbor in Asia)
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2020-09-29   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi