研究課題
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血管性認知症において、オリゴデンドロサイトの分化が障害されることが報告されており、内因性の分化誘導を促進するような治療法が期待される。本研究は、血管性認知症におけるオリゴデンドロサイトの分化障害を改善できるミクログリアの形質や誘導条件を同定し、血管性認知症に対する治療応用へと展開する研究基盤を確立することが目的である。ミクログリアの形質変化を明らかにし、その結果を臨床応用できる基盤が確立できれば、血管性認知症に対する新規治療法開発に役立つことが期待される。
本研究は、脳血管性認知症におけるオリゴデンドロサイトの分化障害を改善できるミクログリアの形質や誘導条件を同定し、血管性認知症に対する治療応用へと展開する研究基盤を確立することを目的とする。①異なる酸素分圧でのミクログリアの極性変化をmRNAレベルで確認した。その結果、軽度の低酸素刺激がミクログリアの極性をM2タイプに変化させることを確認した。②また、ミクログリアへの低酸素刺激がオリゴデンドロサイト前駆細胞を含む周囲の細胞腫に対して、種々の影響を与えうることを見出した。③脳血管性認知症モデルマウスに低酸素ミクログリア細胞上清を投与することで、OPCの分化障害の改善が起こることを確認した。
健康寿命の延長に伴い、認知症患者は年々増加傾向にあり、社会問題となっている。血管性認知症は認知症の原因としてアルツハイマー病に次いで頻度の高い疾患であるが、その背景病態については不明な点が多く残されており、現時点で根本的な治療法は存在しない。本研究により、脳虚血環境において低酸素の勾配が存在していることが予想され、低酸素環境でのミクログリアからオリゴデンドロサイトへの影響についての役割の一部が明らかとなった。今回得られた知見が、血管性認知症の病態解明と新規治療法開発の基盤となることが期待される。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件) 図書 (1件)
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120007174405