研究課題/領域番号 |
20K22689
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0704:神経科学、ブレインサイエンスおよびその関連分野
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
服部 早紀 横浜市立大学, 附属病院, 助教 (30880124)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 統合失調症 / 抗精神病薬 / 自律神経活動 / 脂質代謝 / 持効性注射剤 / 生命予後 / アラキドン酸 |
研究開始時の研究の概要 |
統合失調症患者の生命予後は不良で、平均寿命が健常人より15~20年短い。特に、心血管障害に関連する早期死亡が多い。その原因として、メタボリックシンドロームの併存率や喫煙率の高さの影響が考えられるが詳細は明らかではない。申請者はこれまで、統合失調症患者の突然死の背景にある心血管性突然死の病態解明に取り組み、自律神経活動障害が影響を及ぼすこと、さらに、抗精神病薬が悪影響を及ぼすことを明らかにした。近年、アラキドン酸と自律神経活動との関連が指摘されていることから、本研究では、統合失調症患者で、アラキドン酸カスケードの異常が心血管性突然死へ及ぼす影響を明らかにし、生命予後が不良な病態を解明する。
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研究実績の概要 |
本研究では、統合失調症患者の心血管性突然死の病態解明のため、アラキドン酸カスケード由来脂質メディエーターを網羅的に調査し、その関連を明らかにする こと、さらに、関連遺伝子のエピジェネティック変化の影響を調べることを目標にしている。 本年度、本格的にサンプル収集を開始した。コロナ対応の影響で関連施設での収集にはかなり遅れが生じたが、当院を中心に対象となる統合失調症患者をカルテ上で選出しリクルートを行った。血液サンプルを得て、キットを用いた遺伝子の抽出、検体の保存を行うと同時に、各患者の精神症状評価、日常活動量の評価、心拍変動パワースペクトル解析による自律神経活動の測定、診療録による薬物履歴の調査を行った。 研究経過中の前年度の時点で、内服薬か持効性注射剤かという抗精神病薬の剤型の違いが、心血管イベントや有害事象と関連する可能性はないかという疑問が生じた。その剤型の違いの影響は、アラキドン酸カスケード由来脂質メディエーターを介した病態の違いとも関連する可能性はあり、パリペリドン持効性注射剤およびアリピプラゾール持効性注射剤の患者のリクルートを増やし、臨床症状および自律神経活動や薬物履歴などを詳細に調査し、剤型の違いに関して、解析を行った。結果、アリピプラゾール持効性注射剤は、アリピプラゾール経口剤より自律神経活動、特に交感神経活動への悪影響が少ないことが判明した。それについて、英語論文にまとめ、国際誌にその成果を報告した。さらに、外来、入院治療中の統合失調症患者を幅広く対象とし、アラキドン酸カスケード由来脂質メディエーターと関連する代謝産物の調査のため、血漿成分の収集を続けている。 研究成果について、学会のシンポジウムで発表した。さらに、統合失調症患者や抗精神病薬投与中の患者における心血管性疾患発症の病態に関する最新の知識を得るため、学会に参加し最新の情報取得に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響で、外来および入院治療が大幅に縮小したため、検体収集活動に支障が生じた。また、他施設への出張や入所なども制限されたため、検体収集に支障が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
サンプル数を増やすため、関連施設を含めたリクルートを重点的に行い、採血、遺伝子抽出、自律神経活動測定、臨床症状の評価を併行して行う。一定数集まった時点で、アラキドン酸カスケードにまつわる代謝産物の評価のため、外注検査を行っていく。剤型の違いの病態がどのように関連するかにも着目していく。臨床症状や自律神経活動とアラキドン酸化カスケードの関連について解析を行い、最終的には、エピジェネティック因子の関連の解析を目指す。
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