研究課題/領域番号 |
20K22691
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0704:神経科学、ブレインサイエンスおよびその関連分野
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
長内 康幸 自治医科大学, 医学部, 助教 (90758004)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 弱視 / 髄鞘 / オリゴデンドロサイト / 視覚臨界期 / 視覚感受性期 / ウイルスベクター / 神経可塑性 / 弱毒化狂犬病ウイルスベクター / アデノ随伴ウイルスベクター / 電子顕微鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
視覚における神経可塑性は視覚臨界期と呼ばれる感受性の高い時期を境に急激に低下する。視覚における神経可塑性の研究は、片眼からの入力を遮断する実験手法を用いておこなわれてきた。髄鞘形成期と視覚臨界期は重なることから、オリゴデンドロサイト(以下OL)による髄鞘形成が視覚臨界期を終わらせていると考えられる。本研究の学術的問いは弱視モデルを用いて神経回路形成におけるOL髄鞘形成の役割を明らかにすることである。以下二つの仮説を検証する。 ① 既に知られている単眼閉眼遮蔽による視覚変化に応じて、OLの形態が変化しているか明らかにする。 ② OLの分化を抑制・促進することで臨界期の時期を延長(もしくは短縮)できるか解明する。
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研究成果の概要 |
幼少期の視覚的体験が欠如すると弱視になることが知られているが、なぜこのような現象が起こるのか十分に分かっていなかった。我々はマウスを暗所飼育することで幼少期の暗所飼育が視神経に与える影響を検討した。その結果幼少期に2週間暗所飼育されたマウスの視神経では正常な神経伝導に必要な髄鞘と呼ばれる構造が短くなることが明らかになった。短い髄鞘は伝導速度を低下させ視力の低下につながる。本研究により幼若期の視覚欠如が成熟期の視神経の形態障害につながることが示され、弱視のメカニズムの一部が明らかとなった。本研究内容は2022年8月6日Neurochemical Research誌のオンライン版に先行掲載された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
幼少期に何らかの理由で視覚経験が欠如すると、成長してから十分な視覚経験を与えられても視力が正常にならない弱視という疾患になり、メガネなどで矯正することも出来ない。弱視の原因は脳の視覚回路にあると考えられていたが、我々は本研究で幼少期の視覚遮断が脳よりも手前の視神経のレベルで異常をきたすことを明らかにした。この視神経の異常(髄鞘の短縮)が暗所飼育から数週間経過した成熟期で観察されたことから、幼少期の視覚遮断は長期にわたる髄鞘の異常をきたす事が明らかになった。眼からの情報は視神経を介して脳に伝えられるため、視神経での髄鞘の異常は脳回路の形成を阻害している可能性もある。
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